八ヶ岳・赤岳南峰リッジ中央稜

  • 期間 2024-12-07~2024-12-08
  • メンバー L駿谷(40期)、田中(35期)
  • 記録 駿谷

■12/7(土)
美濃戸口からしばらくは雪が無く、赤岳山荘に着いても田中さんはツボ足のまま、駿谷はいちおうチェーンアイゼンを出す。
山の中腹より上は不穏な雲に覆われている。大荒れ予報にもかかわらず我々が山にやってきた理由はいくつかある。まずは
・その一 ウェーダーを使った渡渉試験。
ウエーダー
冬季北鎌の渡渉の選択肢として検討しており、amazonで1980円、両足で1.2kg。南沢で試したところ、使い勝手はなかなか良さそう。難点はやや重いことか。
ウエーダーの田中さん

ウェーダーの田中さん

・その二 ジェットボイル
燃料節約のために田中さんが購入。吊り下げられるようにプチ改良されている。
ジェットボイル
流石のパワー! 雪がどんどん溶けるから投入が間に合わないほど。吊り下げた状態から傾けるだけで、容易に水を容器に注ぐことができる。雪山長期縦走に最適ではないだろうか。ただし、水づくりには容量がやや小さいか。
・その三 アストロフォイル+サマーシュラフ
アストロフォイルはR値14という情報(信じられないが)もあり、クローズドセルマット(同2.1)とサマーシュラフ(モンベル#5)との組み合わせを試してみた。確かに雪面からの冷気は感じなかった。が、いかんせん外気温がシュラフの能力を超えている。最低気温はおそらく-10℃くらいか。上下ともに全ての衣類を着込んでいたため我慢できないほどの寒さではなかったが、快適ではなかった。
・その四 ネオプレンソックス
ベイパーバリアラップと呼ばれる技術を利用した保温。一方の足には沢用のネオプレンソックスをファイントラックのインナーソックスの上に履き、他方には冬季用ソックスをインナーソックスの上に履いてみたところ、両足とも同程度の暖かさだった。利点は発汗で靴の内面が濡れないこと。つまり、夜中に靴が凍りつかず、朝一で足先が冷たくならない。難点はいうまでもなく、足が蒸れて臭うこと。

■12/8(日)
4:00起床、5:00出発の予定だったが、準備にやや手間取り5:30にBCを出る。
高度を上げるにつれて、風が強く視界が悪くなってくる。森林限界を超えてふと後ろを振り返ると、田中さんが立ったまま凍り付いていた。
凍った田中さん
視界があまり利かず、文三郎道からの分岐ポイントを見落としてしまう。中岳分岐まで行ってはじめて行き過ぎたことが分かり、このまま一般道で赤岳登頂して終わっちゃおうか、いや今さら赤岳行っても意味ないし、などと逡巡したのち、やはり分岐ポイントまで戻ることにする。GPXデータで確認しながら分岐まで戻った。
分岐

分岐

何も見えないが、ともかくここから直上するはずなので方向にあたりをつけて、わしわしと登り始める。途中、南峰リッジ左稜らしきものを左側に視認したので、ルートは合っているのだろうと認識する。
左稜

左稜

雪面はところどころ氷化している個所もあり、それなりの緊張を伴う。
そうこうしているうちに目の前に岩稜帯が見えてきた。これが中央稜の末端だろうと近づいてみると、思いのほか左右に幅広く、どうも想定と違う。岩稜帯の真ん中あたりに左上するクラックが見えたので、そこから登れそうかなと壁に取り付いてみたが、いざ見上げると思った以上に立っている。かつ、乏しいスタンスから下を振り返ると、滑落したら止まらない斜度に見える。しまった、突っ込み過ぎた。ここから懸垂か・・・ 或いは、今はクラックが見えない立ち位置なので、よく観察できる位置まで移動すればなんとか切り抜けられるかも、と儚い妄想をしていたら、田中さんも到着。
鶴の一声で撤退が決まった。岩角へのかかり具合を考慮してスリングを残置することにして、懸垂下降を開始する。雪面が柔らかそうな箇所へと25m下降。ひとまず危機を脱した。さらに文三郎道までトラバースし、ほっと一安心する。
体力も気力も存分に使ったため、再チャレンジするメンタルもなく、そのまま下山となった。

<行程>
12/7 美濃戸口10:20~行者小屋14:30(BC)
12/8 BC5:30~中央稜末端(と思しき地点)9:00~BC10:40~美濃戸口14:00

<参考>
茅野駅→美濃戸口 バス運賃 1700円(200円アップ)
八ヶ岳山荘 入浴料 700円(200円アップ)

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