奥多摩の概念を再確認するために東京近郊の山(日本登山大系)をパラパラとめくる。
目次を眺めていると、妙義山に目が留まる。
妙義山・・・あまり行ってないなぁと目を通してみると、木戸壁右カンテという名のルート図が目に飛び込んできた。
国民宿舎から徒歩20分、6ピッチで高度差が100m、ピッチグレードⅣ級のルートか。
お手頃で面白そう!ってことで早速松本さんにメールを送信。
検討を経て木戸壁をやることになったが、他の資料ではルート図が見当たらない。
2011年岳人の記事が最新のルート図なのかもしれない。
岳人によると、数年前にルート整備がなされたそうだ。
当日、国民宿舎近くに車を停め、籠沢沿いを登りつつ木戸壁を探す。
20分ほど歩いた距離のところに木戸壁の下部岩壁が見えてきた。
踏み跡を少し登って岩小舎に到着。
岩小舎から右へ歩いた先に木戸壁右カンテの取り付きを発見した。
「土方君。核心は4ピッチ目だけど、どうする?」、と松本さん。
「心臓を強くしたいので4ピッチ目やります。」、と僕。
というわけで、奇数ピッチは松本さん、偶数ピッチは土方担当。
核心のリードを数多く経験して、強心臓を作っていこうと思う。
岩小舎で登攀具を装備し、不用品をデポしてクライミング開始。
1P目(15m Ⅲ)
松本さんリード。
フェースを直上。
妙義特有の礫岩が掴みやすく、快適に登ることができる。
ただ、礫岩は脆くポロッと取れてしまうことがあるので、三点確保を心がける。
2P目(20m Ⅳ)
土方リード。
浅い凹状から、フレーク状フェースを直上する。
松本さん・・・ヌンチャク5個って書いてあったのに3個しかないの?(涙)
ボルトが豊富で、正直にランナーをセットしていったら、途中でなくなってしまった(笑)
あっちゃ~、困ったなぁ。残りのヌンチャクの数をちゃんと把握しとくんだった。
まあ、ホールドはガバで登りやすいからということで、あまり気にせず上部はランナウトした。
3P目(20m Ⅲ)
松本さんリード。
フェースからリッジヘ。
そして松の木のテラスへ。
4P目(30m Ⅳ)
土方リード。
核心のカンテライン。
スラブを右上して、傾斜の強いカンテを豪快に直上。抜群の高度感。
でも、ホールドは比較的安定していて、快適で楽しいな。
直上してビレイポイントに出るが、さらに草付きランペを右上したビレイポイントまで登る。
5P目(15m Ⅲ)
松本さんリード。
階段状のフェース。
松本さん曰く、「限りなくⅡ級に近いⅢ級だ。」
安定したテラスに出て登攀終了。
終了点から先が縦走路に繋がってないので懸垂下降(3ピッチ)でおりた。
籠沢を下る道中、僕らが登った木戸壁を振り返る。
アプローチが容易でボルトが豊富、ホールドもガバばかりなので、ある程度岩登りに慣れていれば快適に楽しめる。
ただし、岩が脆くポロッと取れてしまう可能性があるので、三点確保を心がけたい。
【行程】
国民宿舎(10:30)~木戸壁取り付き(11:10)~終了点(13:00)~木戸壁取り付き(15:20)~国民宿舎(16:10)
ホールド&スタンスはもげるので、他パーティーがいる場合は落石等要注意です。懸垂も長めに切る場合、カンテラインのため、下降面を間違えるとやっかいです。
1979年にルートを作った者です。たまたまNET検索してたら目に留まったのて懐かしく読まさせていただきました。初登のときはランニングビレイは岩をテープスリングでインクノット結びで縛るようにして ハーケンも一本使用しただけだたのに今はボルトベタうちとのことで少し残念にも感じましたが、安全にスポーツとして楽しむには仕方ないのかな?当時はクリーンクライムが流行でしたのてその一本のハーケンも回収しました。時代でスタイルが変わるのは仕方ないことですね。
吉田さま
投稿に気づかず失礼しました。
初登された方とのこと。妙義には貴重なマルチルートを築いてくださり、ありがとうございました。あの岩質でのプロテクションだと、ランナーもあてにはならないでしょうから、さぞかし気苦労があったことと推察致します。
今ではどこでもハンガーボルトに打ち替えられると、トップは精神的に安定しますから、昔の開拓者の方々には頭が下がります。