日光白根山~皇海山

  • 期間 2019-11-02~2019-11-04
  • メンバー L保岡(32期)、小林英(25期)、小林功(32期)、宇田川(34期)、田中(35期)
  • 記録 田中、小林英

長く、また、充実した3日間であった。
11/3文化の日は晴れの特異日なので3連休は縦走日和となる。今回は日光白根山(正確には前白根山)から皇海山、鋸山、庚申山のロングコースを縦走した。暑くもなく、風が強い時は若干寒かったがいい塩梅であった。ほぼ体力勝負のルートだが最後に鋸山で冷や汗をかき、銀山平の温泉で疲れを癒した。

■11/2(土)晴れ
東武日光駅に8:30集合、JR日光駅から乗車した湯元温泉行バス(1,740円)は出発から満席となる。湯元温泉(標高1,500m)で身支度し、10:40に歩き始めた。本日の目標は錫の水場である。
五色沢沿いのスキーリフトが途切れたあたりから白根沢に入り、急登を南に向けて登る。今日は暖かいが、足元の日陰には霜柱が成長している。外山のピーク(2,204)を左に見て稜線に出ると、前白根山(2,373m)までは整備された一般道を西へ。この高さでは紅葉はすでに終わっており、落ち葉で見通しの良い山道が壮快だ。風景を楽しみながら13:20に到着した。五色沼が美しい。
前白根山から五色沼避難小屋方面に進み、登山道が小屋に向けて稜線を離れる箇所で通行止めするように置かれている木を乗り越えて直進。ここからバリエーションルートであるが道はしっかりしていて迷うことはない。白根隠山(2,410m)を経由して白桧岳(2,394m)で白錫尾根に乗ると、ここから栃木-群馬の県境を辿ることになる。白桧岳前後で笹が出てきて、膝下くらいの高さになる。2,296mピークとの間などは特に深いが、探せば笹を払って踏み跡があるので苦労はしなかった。シャクナゲもあるが笹が優勢だ。ところどころ木の幹に赤や、赤と黄の目印板が打ちつけてある。左手には中禅寺湖と男体山がきれいだ。適度にアップダウンもあって飽きさせない。
10_白桧岳手前白桧岳手前

2296付近から樹林となり、16時過ぎ、錫の水場に到着。2,170mコルの手前で、馴染みになった赤プレートに加え、水色のブリキ板に「水」の文字が大書してあった。スペースは我々のテント2張で満杯。水場は踏み跡を辿って数分下りたところで、細い流れに刺したパイプから汲める。パイプは2本あり、下の方が水量が多かった。水取り担当と調理担当に分かれて素早く行動し、17時には酒宴が始まっていた。夕餉はおでんと締めのうどんで大満足。20時就寝。

■11/3(日・祝)
3時起床。お茶漬けとサバとサンマの味噌煮を食し、4:40出発。晴れ、気温1℃。本日の目標は国境平。
錫の水場から錫ヶ岳(2,388.2m)までは200mの登りだ。真っ暗の中、コンパスを頼りに笹藪に分け入る。空が開けたところで見上げると行く手にオリオン、背後に北斗七星とカシオペア。朝露で濡れることを予想して各自雨具やスパッツを着けたが、足元は思いの外乾いている。3つほど小ピークを越え、6時前に錫ヶ岳に登頂。山頂で中禅寺湖の上に昇る太陽を拝んだ。と、ここで小林功が「iPhoneを落とした」。先ほど写真撮影に使った地点まで2名で戻って探したが発見できず。
山頂から先は道が薄いが木の高い位置にプレートが頻繁に打ってあり、いい目印になった。よく見るとビール缶を延ばしたり缶底を利用したものが混じっている。おそらく、赤や赤黄の正方形は栃木県が、それ以外のビール缶利用や、点描風に文字や地図を打ち出した指導標は地元有志が付けたものだろう。
ルートは尾根道と鞍部の笹藪の繰り返しを基本に南下していく。2241を下りた細い尾根で東寄りに向きを変え、2077の手前は這い進むようなヤブ。ヤブを潜ってピークに出ると裏側が回れそうに見える(何故か傘や針金のハンガー、用途不明の器具が置いてある)のだが、再びヤブに突入するのが正解できちんと道も付いていた。南下して2,030m小ピークで方向を変えつつ高度を下げ、東に向かって1,991mピークを越えるとネギト沢のコル。ここには「水」のプレートがあったが、実際の水場は確認していない。木の根元に祠があり、賽銭が上がっていた。休憩の後、150mの急登を経て11時に宿堂坊山(1,968.2m)に到着。ここには現役の三角点標の他に「御料局三角點」の標石が残っている。それにしても、今日のルートのまだ半分くらいだ。
宿堂坊山から緩やかな尾根道を下ってヤジソ平(「水 7分」のプレートあり、水場は未確認)、90m登って1,789m、そこを下りてまた200m登って三俣山(1,980.4m)。長大なルートのアップダウンにいい加減うんざりしてきたところで、次の1,847mピークからコルに下りる箇所が意外な岩稜の急斜面。懸垂下降した方が安全かとも思われたが、慎重にクライムダウンすると樹林に逃げることができ、適度な緊張で気分転換になった。コルから上がった1840m小ピークには「大ナラキの頭」のプレートあり。
20_岩を伝って左の樹林へ岩を伝って左の樹林へ

1,828mピークから先の東側はカマの淵と呼ばれる切り立った崖地形で、その向こうにようやく近づいてきた皇海山という景観が広がる。
30_カマの淵

断崖の上についた登山道を気持ちよく進むと、1,736mピークに「10分 カモシカ平、35分 国境平、3H 皇海山」のプレートを見出した。もう1ピーク越えなければならない国境平まで35分とはやや信じ難いが、この案内に息を吹き返して先を急ぐ。
15分ほどかかって15:50にカモシカ平。砂礫に水流の跡があるが、近くに水場は見えなかった。日向山(1,695m)を越え、国境平には16:25に到着。1736ピークのプレートにあった「35分」はカモシカ平からの意味だろうか。
テント設営した傍らに見事な鹿の頭骨があった。水場は50mほども下った沢で、ここまで水切れを心配した反動から大小のプラティパス7個を満たしてテント場に登り返したのが今日の核心。夕餉はスパム入りクリームシチュー。体が温まってとっても美味しかったです。意識を失い就寝。
40_国境平テント

■11/4(月・休)
3時起床。お茶漬けと焼鮭を食し、昨日とほぼ同時刻に出発。晴れ、やや風、気温2℃。
この辺は笹原で踏み跡が途切れてルートが判りにくい。広い尾根に目印のプレートを探りながら皇海山の懐に分け入ると450mの急登だ。谷間の雲海が日の出とともにまさに雲散霧消していく。喘ぎながら最後のシャクナゲの藪をこいで、6:50に皇海山(2,143.6m)登頂。
山頂標には山名と標高を記すのみだが、傍らの木に付けられたプレートが「栃木百名山」だったり、お馴染みの赤黄の正方形があったりと、「栃木の山」の主張が感じられる。木に遮られて山頂からの眺望はないが、来年の秋は赤城山から袈裟丸山(この皇海山の南)まで縦走しようという話も出た。
下山路には最後の難関の鋸山が待っている。不動沢のコルまで300m近く下降して見上げる鋸山の稜線はまさしく鋸歯状だ。
50_鋸岳

樹林から入りロープの付いた岩山をよじ登って8:20に鋸山(1,998m)に到着した。皇海山越しに今回辿ってきた尾根が見通せる。皇海山頂からここまで40分下降の40分登り返しとは結構しんどいが、山と高原地図で実線の一般道。ここから庚申山までは危険マークもある破線ルートとなる。最近の台風や大雨でルート上のハシゴ類が緩んでいないか心配だったのだが、登りの途中ですれ違った父子と思しき二人連れから問題ないと聞いて安心した。
ハシゴを上り下りし、細い尾根を急降下し、ルートを誤って細い岩稜を渡ってしまったりもし、スラブを50mほど下降し、またまた岩山をよじ登ったりして、9:40に薬師岳(1,910m)。小林英と田中は各個にこのルートで皇海山へ登ったことがあるのだが、これほどシビアだったろうか。
60_鋸岳のアップダウン

その後は特に困難もなく、渓雲岳(駒掛山手前の1,800m小ピーク。古いエアリアマップには山名が記載されている)から駒掛山(1,808m)を踏み、笹の深いコル(小林英は以前の登りの際にここで行き悩んだ覚えがあるが、今回は容易に踏み跡を辿れた)を渡って、御岳山(尾根上1,840m付近、エアリアに記載あり)を経て庚申山(1,892m)に到着。山頂手前の展望台で、鋸山から皇海山、その背後の今回縦走ルートを再び眺め渡した。
70_縦走ルート_180_縦走ルート_2

庚申山からは一般ルートなのだが、岩峰の基部など一部に下りではルートの見えづらい箇所があった。
庚申山荘で休憩をとり、さらに1時間弱の下りで一の鳥居を潜って登山終了。またまた長い林道歩きの末、銀山平の国民宿舎かじか荘の温泉で疲れを癒し、缶ビールで縦走完遂の祝杯を挙げた(ただ、食堂が既に閉まっていたのは残念)。

<行程>
11/2:湯元温泉10:40~前白根山13:20-13:30~白根隠山14:20~白桧岳14:50~錫の水場16:20
11/3:錫の水場4:40~錫ヶ岳5:55-6:30~宿堂坊山11:00~三俣山13:15-13:30~日向山16:05~国境平16:25
11/4:国境平4:40~皇海山6:50-7:05~鋸山8:25~庚申山11:25~庚申山荘12:40-12:50~一の鳥居13:40~銀山平14:35

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