小出俣山~阿能川岳

  • 期間 2013-03-16~2013-03-17
  • メンバー L小林英(25期)、SL土方(26期)、矢田(15期以前)、松井(26期)、舘(27期)、二見(27期)、加藤(29期)、鈴木利(30期)、福本(31期)、小林功(32期)
  • 記録 加藤

■3/16(土)

水上駅からタクシーで川古温泉へ。車中から見る限り、予想以上に雪が融けてしまっていた。林道入口の前でタクシーを降り、猫と戯れながら身支度を整え、10時過ぎに出発。川古温泉からオゼノ尾根の取り付きまで林道を歩く。雪が出てきてもつぼ足で乗って潜ることはあまりなく、足場を選びつつもさくさく進む。しかし日差しが暑くて、体力を奪われる。みんな途中で服を脱いだ。

11時20分頃、千曲平の取り付き地点に着く。休憩を取り、ワカンをつけて11時45分頃尾根に取り付く。少し尾根から外れたところから入ったので、尾根上に出るまでくさりかけた雪に少し苦労した。尾根に上がってしまえばラッセルは全くなく、たまに足元が崩れるものの、先に入っている別動隊の足跡を辿ると歩きやすい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAオゼノ尾根

しばらく尾根を上がっていくと、左手に川古温泉から十二社ノ峰・赤ホド山を経て三尾根岳へ上がる大きい尾根が見える。赤ホド山より先の東側斜面の岩場で1回雪崩があり、大きな音がこちらまで響いた。山頂までずっと尾根上を歩くが、1400m地点で尾根の東側をトラバースする箇所があり、そこで日帰りで来ていた数名のパーティーとすれ違う。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAトラバース

1600mあたりからは樹林がまばらになってきた。ここから先、ホワイトアウトの場合進むのは難しそう。視界が開けて、翌日歩く小出俣山から阿能川岳の稜線がよく見えた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA小出俣山~阿能川岳の稜線、奥が谷川岳

しかし、暑い中ひたすら登りで、だんだんとペースも落ちて時間が押してくるとともに、風が出てくる。天候が荒れてきた。きれいに見えていた谷川岳もガスに消えていく。今日は小出俣山と阿能川岳の間の稜線上にテントを張る計画だが、100m以上の登りを残して既に15時をまわっていた。途中にテントを張った跡があり時間と風を考えてそこに泊まることも考えられたが、翌日の行程が長くなってしまうことと、地形的に山頂を乗り越してからテン場適地を期待できたため、見送って進む。山頂付近には雪煙が舞っているのが見えた。天候が急速に悪くなっているため、3名がテント場を探しに先行する。

ワカンのまま風に耐えながら、徐々になだらかになってきた尾根を踏みしめ、15時45分頃小出俣山山頂に到着。北西からの風と南側の巻き返しで景色を堪能するどころではなく早々に退散し、テント設営地を目指す。小出俣山の北に期待した適地はあまり良くなく、風はさらに強くなり足場も悪くなったのでブッシュの中でアイゼンに履き替え、阿能川岳へ続く稜線上を少し移動し、1650mの斜面の少し吹き溜まりになっている場所をL字に整地して4~5人用2張をなんとか設営し、テントの中に逃げ込んだ。風はますます強くなって雪も混じり、各テントで食事後に一つのテントに集まる予定だったが、行くのも戻るのも辛いのでやめた。風で周りの音が大きいため、1mしか離れていないテント同士の会話も無線を使った。俎嵓(まないたぐら)山稜にいる別動隊とも交信して、天気予報を聞く。翌朝は4時起床、6時出発を目指すが、天候を見て判断することにした。気温は夜になってもさほど低くはならなかった。

添付用67テント(3/17朝)

■3/17(日)

朝4時になっても風は全く収まらなかった。梢を抜ける風の音でほとんど眠れずみな寝不足。とりあえず朝食を済ませ、テント内で身支度を整えて完全防備で出ることとした。しかし、日が出るころには徐々に風が弱くなり、朝日を眺めていることもできるようになっていた。テントを撤収しアイゼンを履いて、6時半に阿能川岳に向かって出発。すぐに斜面のトラバースがあったので、リーダーが先に進んで雪の状態を確認し、それに続いて行くと昨日見ていた緩やかな稜線に出た。

添付用91トラバース

ここからはノートレースの気持ちの良い稜線歩きとなり、先頭を交代しながら進む。風は収まり、俎嵓と谷川岳や見渡す限りの山々を眺めながら進む。稜線上の樹林帯ギリギリにシュルンドが入っていて、北側の木々の中を歩いたり、稜線上を左手で木を掴みながら進む場所もあったが、足が埋まることはなく快調に歩けた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA稜線を樹林に沿って歩く

8時45分に阿能川岳山頂に到着。仏岩から登ってきたテント泊の東京労山所属のパーティーに出会う。荷物を降ろしエアリアを見て山座同定を楽しんだ。富士山の頭も見えた。

9時20分頃、阿能川岳山頂から南東方向に延びる尾根を水上寺へ向けて出発。本科生を先頭にサブリーダーが二番手につき、足元のトレースはないつもりになって枝分かれしていく尾根を読図しながら進む。快晴で日も高くなり、標高も下がるので、朝は目出し帽まで被っていたのにまた薄着になっていく。1540mにある岩場の手前で、それまでいた途中から北東に延びていた尾根と分かれて、東に延びる尾根へ進路をとる。しかしすぐに岩にぶつかり、先頭とサブリーダーが上がってみたが、そのまま進むのは困難と判断し、斜面を少し下りて北側を巻くことにした。少し急な斜面を後ろ向きに降りると雪が深く割れていて、地面との間に隙間もできているのが見えた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA北側斜面を下降して巻く

ふたたび尾根上に戻り先頭を交代して進む。途中でアイゼンからワカンに変えた。1264mのポコを過ぎ、1200m辺りの尾根が緩やかに広がったところでコンパスを出して進む予定の南東の尾根と南へ延びる尾根を確かめる。天気がよく視界がきくので、木に遮られない場所では遠く下に見える関越自動車道もランドマークとして活用した。また、尾根を間違えずに進めば1130m付近に送電線があることを念頭に置いて先頭を交代。想定通り鉄塔を通過し、960m付近でまたコンパスを出して南西寄りに分かれる尾根と進路である東寄りの尾根を確認した。途中だんだん雪が少なくなり地面が露出している箇所が増え、尾根も痩せていて足元が危なくなってきたのでワカンを外した。

添付用1431264m先の送電線鉄塔

先頭をまた交代して次は830mのポコ付近まで進んで南西の関越自動車道に向かって分かれる尾根を確認した。最後にまた先頭を交代し、想定通りいくつか鉄塔を通過。長い尾根だったが無事に水上寺の裏に出ることができた。お寺の駐車場で装備や服を整理して、水上駅まで歩いて戻った。

<行程>
3/16 川古温泉10:05~オゼノ尾根取付き11:20-45~小出俣山山頂15:45~幕営地16:25
3/17 幕営地6:30~阿能川岳山頂8:45-9:20~1264m地点11:20~814m地点13:20~水上寺13:50

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