沢登り記録がメインのブログ「ポムチム」で目に留まった「奥只見の神域 白石沢スラブ」。このタイトルに心惹かれ、ネット上でいろいろ調べて船アプローチ&沢中一泊を計画した。
■11/3(金・祝)
船をチャーターしてアプローチなんてなかなかないので最初から楽しい。
ライフジャケットを装着していざ出航。結構スピードが出て寒い。
放射冷却で霧が立ち込め徐々に視界が狭くなり、白石沢出合いに到着するや否や船頭さんが「こんな霧が深いのは初めてで緊張した」と。水面は通常より5mほど高いそうだ。
船に別れを告げ、孤島にポツンと取り残されたような不安な気持ちになる。
白石沢の水量は多くなく、足を濡らさずに行ける。やがて前方に巨大スラブが見え隠れし、期待が膨らむ。
途中のCSは左から巻いた。
正面大岩で塞がれた箇所は、手前に数メートル戻ると右側藪に明瞭な巻道あり。巻道は行きすぎ注意。沢が見えたらすぐに戻る。
スラブの取付きに到着。取付きから数メートルは傾斜が強く、濡れている上に落ち葉も多くて、非常に滑る。この数メートルが核心だった。研究すべく三者三様のシューズをセレクトしたが、ここはラバーソールが優秀。クライミングシューズ、チェーンアイゼンは、この先傾斜が緩くなったところで装着するのが良い。
傾斜が緩くなった箇所から左上する。
その先は傾斜の緩いところを選べば、三者三様のシューズどれもフリクションを効かせ問題なく歩ける。
そして巨大スラブの展望が開けた! うおー!!なんだこれは!スゴイ!!という言葉しか出てこない。
紅葉も綺麗でスラブによく映える。
テラスのように窪んだ箇所にザックを下ろし、しばらく巨大スラブを満喫した。
名残惜しいが先に進む。
馬の背は思ったより幅があり安心して進める。
その後藪へ突入。一旦藪がなくなり、スラブを少し登りまたすぐに藪。厄介な藪、低い藪と繰り返し、休憩をはさみつつ進むと、正面大岩で塞がれる。
左側の踏み跡へ進むと左斜面も大きなスラブ。崩れているので慎重に進む。
振り返ると奥只見湖がきれいに見えた。
岩がなくなり右上稜線へ這い上がる箇所が急斜面でかなり悪い。稜線へ戻り90m登って1190mのコル。
岩穴沢下降点
岩穴沢下降点はすぐに見つかり、下降開始。ここからはチェーンアイゼンが良い。
岩穴沢はヌメリが強い。キノコがたくさんあり、選別できれば食材の足しになる。
懸垂下降(その1)
懸垂下降は全部で3回。30mロープでは不安な箇所あり、50mロープを推奨する。
懸垂下降(その2、その3)
南沢出合のすぐ先に幕営。その先はしばらく適地無し。
さてさて待ちに待った焚火の時間です。焚火マスターと火種投入好きと薪集め好きがうまい具合に役割分担。白石沢スラブの奇景の余韻に浸りながら焚き火を囲み、コンビーフクリーム鍋&リゾットを食べ、ホットワインを飲み、寝転がって満天の星空を眺め、至福の時間を過ごした。
■11/4(土)
今日は2時間半ほどの行程のため、時間にも気持ちにも余裕がある。朝の冷え込みもなく、ゆったりと焚火前で朝食を取った後、出発。
しばらく沢に水はあるが、ほぼゴーロ歩き。途中から廃道の砂利道を進む。
紅葉を満喫しながらゆっくりと歩き、トンネルを抜け奥只見ダムの敷地に入らぬよう手前を右折して道路を登ったが、この道路も奥只見ダムの敷地内だった。最後に門があり、係の方が門を閉めるところをぎりぎり出ることができた。
終始貸切りの沢遡行、巨大スラブ、藪漕ぎ、ルートファインディング、沢下降と、盛りだくさんの良い山行であった。
<行程>
11/3 奥只見遊覧船乗り場6:50→(六方ボート)→白石沢出合(入渓)7:25~スラブ取り付き8:10~(1時間ほどスラブ満喫)~馬の背9:30~1190mコル(岩穴沢下降点)11:20~南沢出合(幕営)14:50
11/4 幕営地6:45~トンネル8:10~奥只見ダム駐車場9:00