八ヶ岳(集中合宿)・ツルネ東稜

  • 期間 2020-01-12~2020-01-13
  • メンバー L矢田(14期)、林(38期)
  • 記録

仕事が休めず本科生隊から一日遅れで参加した八ヶ岳集中合宿について報告する。急な申し出にも関わらずパーティーを組んで雪山行動の指導をしてくださったリーダー矢田さんに心から感謝の意を表します。

■ルート
南八ヶ岳・地獄谷からツルネ東稜を辿る(美し森~出合小屋~ツルネ)

■コースタイム:
【1/12】美し森駐車場(180分)→出合小屋幕営地
【1/13】出合小屋幕営地(20分)→ツルネ東稜取付(60分)→2250m地点(60分→)出合小屋幕営地(120分)→美し森駐車場

■ルート状況
①途中まで林道が整備され、要所には案内板や赤リボンがあるので道は明瞭である。
②林道から地獄谷方面へ下るポイントは、これでもかというくらい多数の赤リボンの目印あり。
③地獄谷は積雪量少なく川を渡渉する場面が数度あり、落ちて濡れないことが大事。
④4つの堰堤を越えるときに、滑りやすいはしごや斜面があり慎重に歩く。
⑤先行者のトレースが多く残っていたが、時に動物の踏み跡に誘導されてしまった。
⑥出合小屋まではツボ足でアプローチ可能であった。
⑦幕営地の雪質がさらさらで整地がしづらかった。
⑧幕営地からツルネはアイゼン装着でアプローチしたが、岩がむき出しの箇所もあった。
⑨ツルネ東稜取付にも案内看板あり。登山客が増えて一般道に近い整備がされている。
⑩ツルネ東稜も雪は少なく歩きやすいが、やせ尾根なので滑落しないよう十分な注意が必要。

■山行詳細と感想
初日は八王子からあずさ5号に乗り小諸駅で小海線に乗り換え10:33に清里駅に到着。駅前のタクシーで美し森駐車場に移動し、装備を整えて11:00に登山開始。
IMG_1794__20200112美しの森駐車場a

矢田さんから地獄谷へのルートファインディングを指示される。林道は鮮明で分岐ポイント毎に赤いリボンもしっかりと結び付けられ迷うことはないはずなのに読図経験の浅い私は拡大地図の距離感を間違えて現在地を把握していたり、足元に集中しすぎて雪面に残る動物の足跡に誘導されたりと失敗が続き矢田さんに渋い顔をされてしまった。もっと広い視野で地形把握や方角を見定めるようアドバイスを受ける。人工物の堰堤の位置や数のチェックも漏れていた。今回の出合小屋までの道は俳優の永山瑛太が歩いてから人気となり目印も増え一般道の如く整備されていたが、通常のバリエーションルートでは道迷いの危険性がもっと高いので出発前の読図とルート予測に十分な時間をかけるべきだと実感した。

幕営予定地の出合小屋周辺1860mまでは急登も岩稜もない平坦な道を3時間歩き14時に到着する。リーダーからはツボ足歩行時にザックが左右に振れ不安定であったこと、ピッケルの使い方が心許ないことを指摘された。これらの問題を改善し、翌日の復路は標準タイムの2時間で登山口まで戻ることができたのが嬉しかった。
幕営地で本科生隊のテントを見つけすぐ横で整地を行うがさらさらと固まらない雪に苦労する。テント設営方法や、雪用竹ペグの埋め方、アイゼン・ワカン・ガチャ類は、テント近くにピッケルや木の枝を利用し雪に埋まらないよう置くなど基本的な知識を習う。
16時頃アイスクライミング隊が、17時半過ぎに鈴木(百)(川俣尾根)隊が幕営地へ戻ってくる。両隊共に雪質や雪量の物足りなさを訴えながらも雪と向き合ってきた満足感に溢れていた。明日は自分も、雪と思う存分戯れることを期待して心が躍る。テントの中でもリーダーからの指導は続く。互いに対角線に座り荷物を背もたれに使うと限られたスペースを広く使える、テント内を濡らすのは厳禁で水を細心の注意で取り扱う、山の携行品についても点検いただき、生活用品は兼用でグッズ数を減らす、箸や歯ブラシはカットして短小化する、100円ショップ製品も活用していかにコンパクトに軽い荷造りをするかのコツを学ぶ。
本科生として基本ステップ、応用ステップ訓練では課題をいかに正確に安全にクリアするかが重要であり食事の充実やテント内での快適性は自分の体力や行動時間に余裕ができてから追求するもの。先ずは計画遂行に集中するようにとの矢田さんのアドバイスを真摯に受けとめて、2020年は装備の軽量化、体力強化を目標に継続実施することを心に誓う。

2日目は早朝3時に起床し朝食にカップラーメンを食べて4:30の出発に備えたが、生憎の降雪で出発時間を遅らせ仮眠しながらの待機となる。途中矢田さんの携帯が電波キャッチして天候が8時から回復することを確認できたので7:20に鈴木隊と共に幕営地を出発。上の権現沢への分岐で別れ、我々はツルネ東陵取付点に7:40に到着し尾根を登り始める。9:00に2250m地点まで到達したが、ガスが晴れず眺望も期待できないことからツルネの頭2550mまで300mを残して撤退。
IMG_1799__20200113ツルネ東稜a

10:00出合小屋幕営地に戻り、テントを撤収し10:50に下山開始、美し森駐車場に12:50に到着。先に下山した鈴木隊と甲斐大泉パノラマの湯で合流する。富士山が真正面に広がる露天風呂でさっぱりとして、雲の切れた八ヶ岳の山並みに後ろ髪を引かれながら帰路に就いた。

歩行時間は1日目が3時間、2日目が4時間40分と少なめであったが矢田さんから多くのアドバイスをいただき学びの多い山行となった。自身の弱点を冷静に直視し、山知識と技術、体力や高度順応の限界を把握して無知、無駄、ムラ、不慣れ、不注意から自分とパーティーの仲間を危険にさらさないことが重要であると再確認できました。

■食事メニュー
【夕食★黒豆のクリームチーズあえ★キムチ野菜スープ★チャーシュー入りガーリックライス】
【朝食★カップラーメン】

■覚書
たわしは雪落とし用、高地ではライターは火打石式、鍋用板は耐熱シートと別物(コンロの安定に利用)、おたまと漏斗は小さくたためる製品あり、テントの張り方:方対角線のポールを持ちながらテント幕を引っ張る、テントポールはショックコードをのばさないように真ん中からたたむ、火気の取り扱い、テント内では慎重に動きがさつな行動は厳禁、ザックは防寒にもなる、テント内は濡らさないよう注意する、アイゼン装着時はレールを歩くよう平行に足を出せば踵をひっかけない、急斜面ではピックを斜面に突き刺して体を保持しながら登る、ピッケルバンドはザックを担ぐ前に括り付ける。

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