今回、私たちは3段260mの幻の滝を目指してヌク沢に行って来ました。幻の滝ならぬ幻の氷瀑に悪戦苦闘するも無事登攀し、冬のヌク沢を満喫してきました。
■日程1日目
塩山駅に集合し、マイカーで道の駅みとみに向かいます。
■日程2日目
夜間に雪が降り、2~3cm積もっています。マイカーで西沢渓谷駐車場に移動します。ここから西沢渓谷に向かって林道を歩きます。林道がヌク沢に出合う場所から入渓します。
F4?の5m滝です。左岸を高巻きます。
薄い新雪の上にトレースをつけていきます。積雪は吹き溜まりでも膝下ほどの高さです。
雪のロールケーキ、雪まくりです。自然の楽しい芸術です。
氷の廊下を進みます。
写真は、標高約1550mの三俣(遡行図では二俣)を左俣に進むと最初に現れる堰堤です。気温は9℃ほどです。氷を登ります。
奥の二俣の右沢6m滝と7m滝です。
3段260m大滝の1段目です。
3段260m大滝の2段目です。ここが今回の核心部です。右岸側のラインをドライツーリングを交えて登ります。50mロープで3ピッチで登ります。
富士山が見えます。
3段260m大滝の3段目です。気温はマイナス4℃ほどです。
3段目は、途中から傾斜が緩くなります。
大滝落ち口から、ほぼ水平方向に左岸の尾根にトラバースして、尾根を下って林道終点に出ます。この尾根は、登山道として利用されているようで、赤布があちらこちらにある為、発見するのは容易です。さらに林道から近丸新道に合流する尾根を下ります。林道にはカーブミラーが幾つかあり、その内の一つがこの尾根に入る目印になります。
【時間の経過】
西沢渓谷駐車場(4:15)~ヌク沢出合(4:50)~3段大滝(11:50)~左岸尾根~駐車場(19:50)
【感想】
■木村
ヌク沢の氷瀑はどこも氷が薄く、登攀に使える部分も少なく、たまに崩落したりして、常に緊張を強いられる登攀となりました。今シーズンは例年にない冷え込みになっているので、ヌク沢も凍っているものと思っていたのですが、ヌク沢はやはり温沢でした。写真では滝が良く凍っているように見えますが、氷の下には噴き出しそうなほどの流水があります。
ヌク沢には、地形図や遡行図に載っていない堰堤が多数あり、これを高巻くのが大変でした。体力のほとんどを堰堤の高巻きに使ったような気がします。
装備について。3段大滝の2段目では、1ピッチ目の確保支点をピトンとトライカムで構築しました。アルパインアイスクライミングではピトンやカムを持っていると便利かと思います。ちなみにロープの必要性を感じたのは、3段大滝の2段目だけです。
■二見
インターネットに冬の遡上記録が無く、沢の状況がつかめませんでした。半結氷状態で渡渉に冬靴で幾分水中に入らざるを得ませんでした。オーバーズボンとスパッツでかろうじて水没をまぬかれました。ガイド本の標高が間違っていて確認に時間を取られました。深夜の降雪が上がり9時過ぎ頃には青空が広がり始め暑い位の沢登り、八ヶ岳の氷と比べ温度が5℃前後まで上がり、氷も薄く簡単にアイゼン、バイルが刺さります。60km足らずの所の富士山が大きく素晴らしい姿を見せてくれます。
午後を回って核心、大滝中段後半頃には曇って風も出てきて一気に氷点下、薄着の身が応えました。エスケープルートにしていた林道を歩きながらリーダーに振り返るように言われました。
今登ってきた三段の滝がくっきりと良く見え挨拶をしてくれているようです。夏では味わえない氷の沢を堪能出来ました。