奥多摩・岳嶺岩にて、エイドクライミング(人工登攀)・夏山サバイバルの二日間の演習を行いました。
当日は雨の予報でしたが、「長時間山に入れば予想外の悪天候にも対応しなければならない」とサバイバルに相応しい心持ちで挑みました。
■7/1(土)
○エイドクライミング(人工登攀)入門
ピトンやボルトの打込み方法(ジャンピング)、安全確認の方法、人工登攀グレードを教わり、早速、アブミを使用した登攀の実践へ移ります。
研究生・先輩本科生(平、高橋、八重樫、鹿内、秋永)はオーバーハングしている壁に挑戦。
初体験の本科生(藤木、中村、青柳、吉岡)は、ほぼ垂直の壁を利用して講師陣からアブミの使い方、バランスの取り方のレクチャーを受けます。アブミに体重を移した際のバランスに苦戦しながら何度も挑戦しました。4段アブミの上段に行くほどバランスが崩れていきます。
このコース、先輩の皆さんはフィフィを使わないで行くとのこと。私たちは何度もフィフィに助けられレストしながら登っていき(フィフィ様様!)、重心のとり方の感覚を徐々に習得していきました。
次に、懸垂下降時の仮固定の方法を学びます。
まずは下降器を使って懸垂下降。地面近くまで下りてから、手を離した状態で止まれるようにロープを結びます。
下方へ流れるロープを環付きカラビナのスパイン側に左手で押し付けるように固定、右手でビレイループを通してミュールノットで結び、長く伸ばした末端を下降器の上でオーバーハンドノットにて固定します。
下降器を落としてしまった場合に備えてムンターヒッチでの懸垂下降も実践し、同様に仮固定を行い途中レストする練習をしました。
雨が降る前に寝床を作成し、焚火を囲んで談笑しながら疲れを癒して、明日の講習に備えました。
■7/2(日)
○夏山サバイバル
先ずは昨日の続きで、懸垂下降から仮固定を行い、その状態からの登り返しに挑戦します。
今回は2本のロープスリングをマッシャー結びし、足とハーネスへ交互に体重移動をしながら登り返しを行います。昨日のアブミ登攀で重心移動のコツを掴んでおり、スムーズに登り返しが出来ました。
難しかったのは若干濡れたロープとロープスリングとの相性です。最初にプルージックで結ぶと相性が悪くて固すぎ、あるいはマッシャーにしても巻き数によっては滑ってしまうことを学びました。
また、下降器をガイドモードへ移行する際に、ロープの出が反対方向へ流れてしまうことが何度かありました。こういう時こそ慎重に、安全を確保しながら修正を行う方法を理解していきました。
懸垂下降の仮固定と登り返しが必要になるのは、ロープが不足したり降りる場所を誤った場合等で、焦って動揺していることも多いはず。いざという時に身体が覚えていてスムーズに対応できる状態になるまで練習を繰り返すことが大切だと感じました。
続いては、沢渡渉訓練です。
渡渉ポイントの見極め、ポールや枝を利用した渡渉、相対スクラム渡渉、横列スクラム渡渉と、順番に教わり実践をしました。スクラムを組むと、どの立ち位置の人が楽なのか、川の流れの力を身をもって感じることができます。
ロープ渡渉については、三角法と末端交換三角法の手順を全員で確認していきます。流された際の引き寄せ方、手を放してしまえば鯉のぼりのように回転してしまう危険性を確認し合いました。
河に飛び込むことも体験しました。『濡れた身体は日陰に入るとこんなにも寒いのか!』
最後は、チロリアンブリッジによる渡渉を実践。皆が勢い良く飛び出していきました。
今回の実習では様々な技術と知恵を学ぶことができ、大変充実した2日間でした。
今後の安全な登山活動を行うためにも、学んだことを生かせるように日々復習を繰り返していくことが大切だと感じました。