白毛門登山口に集合。前夜、研究生の先輩たち3名は西黒尾根で雪洞泊をしたそうだ。
さて今回は、現場実習と前後の机上講習を合わせて以下の内容について学んだ。
●ビーコン装着時の注意(干渉など)
●グループチェック
●雪崩地形(雪崩の種類・雪崩道)
●フィールドでの移動に関して(地形の利用など)
●断面観察(不安定な積雪構造とは)
●コンプレッションテスト
●埋没体験
●ビーコンの電波特性
●ビーコンによる捜索(3段階)
●プロービング
●掘り出し など
まずは白毛門登山口周辺でビーコンを装着し、グループチェックを行った。買ったばかりのビーコンを身に着けおそるおそるスイッチを入れる。それぞれのビープ音が鳴り響いて、緊張感を覚えた。
他にも複数グループが訓練を行っており、我々は湯檜曽川の方へ移動して実習を開始した。なお、研究生の先輩3名は、前週に日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)主催の積雪期山岳レスキュー講習会に参加しており、そこで得られた知見を踏まえて終日色々と教えてくださった。
はじめに雪崩地形や雪崩の種類について。その後斜面沿いの雪を掘り、断面観察を行った。上から順に指を刺していくと、見た目では気づかないところにも弱層が存在することが分かった。
コンプレッションテスト。スノーソーで綺麗に雪柱を切り出し、スコップの上から手首・腕・肩を起点に叩くことで弱層を見つける。なかなか手が痛い。
続いて埋没体験。肘をついて頭を雪の穴のなかに入れ、身体全体に雪をかぶせた。完全に覆われて、外の声は聞こえるものの身体の自由がきかない。また、呼吸をしようとすると息を吸ったときに胸が押しつぶされるように圧力を感じ、息がしづらくなった。ほんの短時間ではあったが、体験できて良かったと思う。
その後河原の方に移動し、今度はビーコンを使った捜索方法を学んだ。シグナルサーチ・コースサーチ・ファインサーチの手順を順に教わる。電波特性により、場合によっては弧を描くように埋没点に導かれる。ファインサーチの段階ではビーコンの雪面からの高さを一定にすることが難しく、またピッピッという音の間に動きすぎてしまうなど、慣れない動きに苦戦した。
ペアに分かれて、単数埋没、そして複数埋没の両方についてタイムを測りながら何度も練習を行った。斜面に対してプローブをまっすぐに刺すのは難しい。
最後にスコップを使った掘り出し法を少し練習し、終了となった。
~最後に~
今回の講習で学んだことは、ビーコンでの捜索や雪崩対策に関する基礎の基礎で、他にも深い埋没や掘り出し後の梱包搬送など、まだまだ多くの知識・技術を得る必要があるとのことだった。今回は平らな新雪のうえで練習を行った。また、天気も春のように暖かかった。しかし実際の雪崩が発生したときに、デブリのある斜面で、もしくは風雪のなかで同様に迅速かつ冷静に行動ができるかというと相当難しいと思う。今後も機会をつくって復習と訓練を行いたい。
参考)
●日本雪崩ネットワーク(ウェブサイト)
●『増補改訂 山岳ユーザーのための雪崩リスク軽減の手引き』