つづら岩RCT

  • 期間 2022-11-19
  • メンバー L松本(17期)、BU安永(26期)、秋永(42期)
  • 記録 秋永

待ちに待った自主企画、つづら岩にてマルチピッチの実践。8:35に武蔵五日市駅前に集合し、藤倉行のバスに乗り込んだ。
前週、日和田にて基本ステップの講習で習ったばかり。私は「ビレイ解除!」の意味をよく理解していなくて、女岩のてっぺんからセカンドに「解除!」と叫びながら自らメインロープのセルフビレイを外しかけ、講師の木村さんを驚かせてしまったのは、ここだけのハナシだ。一度恥ずかしい思いをしたら確実に覚えられるので、むしろラッキーだったかもしれない。
林道を歩く
  千足バス停で下車し、林道を歩く

さて、何故そんな習い立てで自主を企画したかというと・・・遡ること4ヶ月前の7月頭、岳嶺岩にて。エイドクライミング入門&夏山サバイバルの初日の夜に、沢沿いで焚き火を囲み夜更けまで山談義を交わしたのがきっかけだ。焚き火も消えかかるなか、最後に残ったこの3人。松本さんのスピーカーでビートルズを聴きながら語り合っていたときのこと。「稲子南壁を、まだやり残している」と松本さん。「行ったこと無いだなんて、意外!」と安永さん。私はポカンとしつつ、イナゴナンペキがどんなところかも分からないのに、すぐさまいつもの調子で「一緒に行けますか!」と身を乗り出した。バックキャストで考えていって、三つ峠、つづら岩にまず行きましょうかという話に。それで、年内のマルチピッチ講習以降の日程で3人の都合が合うところを早々に決めたのであった。
涸れ沢
  途中で渡る涸れ沢。2019年の台風の影響かかなりの荒れ具合

・・・ということで迎えた、念願のつづら岩自主本番。林道終点からは、樹林帯をひたすら登る。事前に何度も読み込んだ先輩たちのつづら岩RCTの記録を思い返しながら、アプローチが長いというので覚悟して進むが、山塾の昔話などあれこれお喋りしているうちに急登のしんどさも紛れて岩場に到着した。
慣らしで東面へ
  まずは慣らしで東面へ

東面の基部には新しめのハンガーボルトがあるものの、岩壁には古く錆びたハーケンが2つほどしか見当たらない。偵察も兼ねて松本さんがリードで登る。少し登って「あ、あった」の繰り返し。日和田と違って支点がよく見えないので、まるで宝探しでもしているみたい・・と呑気なことを考えながらビレイをする。結果、終了点まで到達でき、トップロープを張っていただき、全員1本ずつ練習。そうこうしているうちに正午を過ぎてしまい、足早に南面へ移動。
南面でのマルチピッチ
  南面でのマルチピッチにいざ挑戦

「一般ルート(Ⅳ)」の取付きから岩場を見上げる。技術代表の金澤さんに自主企画を提出した際に、「日和田から見る景色とは、スケール感など、別の世界が見えるでしょう」とコメントをいただいていたとおり、見上げると首が辛い。アルパインクイックドローを3組ずつ松本さんに託し(なお、それらは支点構築にもそのまま使用できる)、引き続きリードをお願いした。今日は3人で登るので、私と安永さんはそれぞれが確保器にロープを通しビレイを行った。1人でダブルロープを操るよりも、弛みの調整がしやすい。一般ルートは左方向への大きなトラバースがあるので、下の方ほど長めにアルパインクイックドローをかけていく。それでも、リードクライマー付近は中間支点に摩擦がかかって、ビレイヤーの手元ではロープが弛むという状況になった。ロープドラッグとはこういうことかと実感。そうこうしているうちに松本さんの姿が見えなくなる。トラバース部分を越えて、立木近くのテラスで最初のピッチを切っていた。いよいよ、「登っておいで」のコール。
どこから登れば
  さあ、どこから登れば良いものか

ビレイステーションから直上すると掴みどころがなく松本さんが苦労していたので(あとあとトポ図を見返したら、そこは「右ジェードル」ルートにつながるⅣ+級のルートだと判明した)、セカンドの私はあっさり諦めて右手のレリーフ脇の緩やかな方から登攀開始。早速、一つ目のヌンチャクを取り忘れて降り直すなど出だしから手間取る。最初のテラスを越えたあとも、足が上がらず勢いでずり上がろうとしたが足元を見ていなかったのでずり落ちてしまった。今一度フリクションを信じて乗り越える。その後の左へのトラバース箇所では、屈曲点のヌンチャクを最初に外してしまい、ロープで引っ張られて逆に不安定になり進めなくなる。もう一度ヌンチャクをかけて、少し左方向に歩みを進めてから右手でヌンチャクを外したら、うまくいった。
ビレイステーションで
  ビレイステーションで一息。まだ手が震えている。
  安永さん登攀中

雲ひとつ無い青空で、南面に張り付いている我々の背中を太陽が照らし続ける。暑いけれど、寒いよりは前向きな気持ちで居られるので、これもきっとビギナーズラックだ。最後のピッチは、ほぼ直上。昔は終了点近くに立木があったらしいが、今はそれが無いために難易度が高いらしい。A0でカラビナに頼ったりしながら、最後の一手は立木があったと思われる割れ目の脆い岩を掴んで、何とか終了点に到達した。
終了点から
  終了点からは紅葉がよく見える

この時点で既に14:00を過ぎ、16:58のバスに乗るために逆算を開始。今日の登攀はこの1本にして、あとはマルチ懸垂下降で降りることにした。岩角から少し下のテラスに足を置く。懸垂下降の支点構築は、セルフビレイにテンションがかけられる高さまで降りてからの方が良いとのこと。
下降開始
  ロープを肩がらみにし、下降開始

下降の様子をじっと見ていたら、ロープの絡みをとったり、肩からロープを送り出したりするたびに懸垂下降の制動の手を離している。そうか、バックアップ懸垂はこういう意味もあるのか、と納得。テラスに着いたら声はかけずに、岩側(結び目側)のロープを2mくらい引いたら降りて良いという合図とのこと。たしかに声が届かないようなところならば、そういうルールをペア間で決めておくのかと理解し、二番手の自分もテラスまで降りて同様に合図を送った。マルチ懸垂の場合、次のピッチでは引き抜くロープの色が逆側になることに注意。
懸垂下降

最後は空中懸垂。青空と紅葉のなかをスーッと下降していくのは爽快だった。オケラルートの右側に着地。ロープのまとめ方をいくつか教わる。すぐに移動するときはロープ両端もしくは中間地点からダブルでコイル巻きにしたほうが早いそうだ。他にも、ルートの級数(Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ級と5.6、5.7、… 5.10a等。後述)について質問しているうちに、下山目標時間ぴったりになり、ガチャをしまいこんで帰路についた。

下山は先頭を歩かせてもらった。2人のハセツネ経験者(安永さん:完走5回、松本さん:完走13回!)を背後に、そして特に、早く外界で飲みたいであろう松本さんからの無言のプレッシャーを感じながら、転ばないように滑らないようにと大急ぎで下山した。急ぎすぎたのか予定のバスまで30分近くも余ってしまい、座って待つよりも歩こうということで払沢の滝入口から乗車。武蔵五日市駅近くの行きつけの店にてお待ちかねの反省会を行い、大変充実した一日となった。

<所感>
◯松本 
およそ5年ぶり。バス停~岩場間のアプローチ・デプローチは、あれこれおしゃべりしていると短く感じるものです。その中、岩場のグレードについて話題に上がったので、この機会に対比表としてまとめてみました。あくまで個人的な感覚によるものです。参考程度に留めていただければと思います。
ピッチグレード比較表

◯安永
マルチピッチ受講した本科生へ。受講してもいきなりつづらはちょっと厳しい。日和田で登る練習しよう!日和田のクラックを苦労しているレベルだと厳しい。一般ルートはアルパインクイックドローは1~2本多めで。懸垂下降は空中有り。古いハーケンはぐらぐらしてるもの有り。日和田と比較すると、傾斜がきつく、少しぬるぬるしていて、しっかりと足で立つ必要がある。ホールドは豊富だがつかみにくいところもある。自主でつづら岩に行くなら一般ルートをリード出来る人を加える。登ってる時間よりロープワークの時間の方が長い。基本的なロープワークを練習しましょう!

◯秋永
デビュー戦。ありがとうございました。今回は到底リードには手が届かなかったが、まずはセカンドでも登れてマルチを実践できて良かった。トップロープと比べて、基本は落ちてはならないと考えていたら慎重になってしまった。でも、ひよると進めず時間ばかり過ぎて腕が無くなっていく。「思い切って!登ってこい」と言われて足を上げてみて何とか登れた場面がいくつかあった。実践をしてみると様々な技術や道具の理解度も深まる。今回はガチャ類も自分なりにルールを決めて整えることができ、今後ますます練習をしたいと思った。

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