昨年行きそびれた秋田県の虎毛沢である。台風が迫るなか、雨にはちょっと降られた程度で遡行できたのは運が良かった。
■9/17(土)
各自に前泊し、横堀駅に8:50集合。予約のジャンボタクシーで湯ノ又大滝駐車場まで40分程度、ガニ沢の案内板で登山口に入る。
湯ノ又沢に沿って登山道に入ったり沢を歩いたり。川幅は狭いが舗装路のようなナメは歩きやすい。沢に引き込まれそうになるが、ピンクのテープを頼りに1時間弱で登山道に入り(地図上では右俣)、急な傾斜を登る。お昼くらいに高松岳と虎毛山を結ぶ縦走路に出る。
縦走路は絵地図の実線とは思えない藪っぽい道だった。南下して1時間程度、ピークを数えながら沢の下降点を探して歩くとピンクのテープがあった。笹をかき分けて降りて行くと細い流れ、赤湯又沢左俣にたどり着く。枝に乗ったり枝を分けたりしながら下降する。
水温が高くなり川幅も広くなって、そろそろと思うころ幕営地。温泉が湧いている。左岸の高台は先客があって7人は入れないのでさらに下流に幕場を探すが、適当なところは見当たらず、戻って広場下を焚火場とした。各自場所を見つけてツエルトを張る。
温泉のおかげで暖かく、寒さは全く感じない。乾いた薪はよく燃え、翌日のお酒の残りを気にしながら宴会し、21時くらいに就寝。
■9/18(日)
4時起床。暖かくよく眠れた。濡れた沢装備の装着も冷たさを感じない。6時に予定通り出発。湯煙が上がる温泉地を後にした。
深いところを微妙に避けながら高低差のない沢歩き。1時間半強で虎毛沢の出合に着く。合流地点を高巻いてやり過ごすと急に穏やかになる。頻出するナメは水流を感じさせない穏やかさ。釜やゴルジュっぽいところもあり、時に胸まで水に浸かって歩くことも。水流が多かったら行けないところだろう。
虎毛沢出合の高巻き
3時間ほど遡行し、沢床に現れ出した虎毛山の名物・亀甲模様に盛り上がる。
当初の幕営予定地は735mの二俣だが、台風が迫っているので今日は行けるところまで行く。この上流が悪かった。川幅が狭くなり、滑った滝がいくつも現れてロープを出す。トポがあったらもう少しラクだったかも。
枯れる前に水を確保し、その後は笹藪漕ぎ。足元にわずかに水が流れている。予報通りに降ってきて雨具を着ける。稜線は近いはずなのに、日は暮れてゆき進路が覚束なくなる。GPSを確認して進路修正するとすぐに稜線に出た。
時間も遅いので山頂は諦め幕場を探して歩く。 18:00、タープを張り、風で煽られないよう地面にハーケンを打って支点とした。風雨を避けてタープの下に身を寄せ、ささやかに宴会して就寝。疲れてすぐに寝入る。
■9/19(月・祝)
4時に目覚ましをかけていたが誰も起きる気配がない。気にしながらうとうとして4:30に起床。朝食、身支度、撤収を済ませ、虎毛山山頂をピストンする。寅年の山頂というこだわりなのだ。
1時間も経たずに避難小屋のある山頂に着いた。ガスっている。記念写真を撮影し、湿原の中、木道を歩いてみる。天気に恵まれれば眺めの良いところだ。引き返して小屋の中を見ると、2階もあって10人以上は入れそうだった。
ビバーク地に戻って赤倉沢への下山路に入る。徒渉点の橋は壊れていたが、木に掴まって石伝いに渡ることができた。徒渉点を過ぎるとほどなく広い道に出る。1時間ほどで登山口の駐車場に着いたが、携帯電話が全く通じないのでさらに歩く。
車道に出て秋の宮温泉に浸かり、タクシーで鳴子温泉駅へ。鳴子で乾杯と食事をして帰路に就いた。
<行程>
9/17:湯ノ又大滝駐車場9:40~ガニ沢標識10:00~ときめき橋10:20~縦走路12:00~赤湯又沢下降地点13:00~野湯幕営地(670m地点)15:30
9/18:幕営地6:00~虎毛沢出合7:40~虎のシマ(亀甲模様)11:30~二俣(760m付近)12:30~稜線17:20~幕営地18:00
9/19:幕営地6:00~虎毛山6:40~赤倉沢下山路分岐7:40~赤倉沢徒渉点8:40~林道終点9:40