新潟県魚沼市、三条市、長岡市にまたがる守門(すもん)岳(1,537m)。
二分(にぶん)駐車場付近の除雪終点から、保久礼(ほっきゅれい)コースを経て尾根上で雪洞泊をし、翌朝に大岳から守門岳へと登頂したのち、ピストンで下山した。無風快晴での2日間。行動中は暑すぎるほどであったが、幕営地では時間に余裕があり、雪の食卓まで設営できたため、夕陽を眺めながら懇親を深めることができた。
なお、当初は「銀山平から未丈ヶ岳往復」という企画であったが、銀山平出口のトンネルが閉鎖中とのことで守門岳に変更となった。松本L曰く、いずれも残雪期の山の醍醐味を味わえる最高ランクの山域とのこと。たしかに雪の下からは藪が顔を出し、無雪期にはさぞかし歩きにくいのだろうと思った。
■4/9(土)
除雪終点は保久礼の登山口より3km以上離れた地点。集合時間の11時よりも早く、浦佐駅からジャンボタクシーに乗った電車組が到着。ビーコンの装着を確認し、10:45に山行開始。天気予報曰く麓では20℃を軽く超えるらしい。雪面からの照り返しが眩しく、汗ばみながら沢沿いを進んでいった。尾根に上がって、長峰からは保久礼コースをたどる。
(左)長峰で小休止。既に暑く日差しも強い
(右)900mを超えて視界も開けてきた
樹林帯の近くで尾根上の平らなところを探し、14:40頃975m地点で幕営地を決定した。
(左)掘り下げてスノーブロックを積み上げる
(右)トイレの設営
(左)タープを2枚張って2.5m×5m規模のスノーシェルターが完成
(右)カラビナに捻り込んでクローブヒッチで固定
1.5時間ほどの作業を終え、16時過ぎより雪のテーブルを囲んで歓談。ビートルズをこよなく愛する松本LがスピーカーからBGMを流してくださる。越後駒ヶ岳や八海山など周囲の山と夕陽を眺めながら、山談義が盛り上がった。
陽が落ちてからはスノーシェルターや各自テントに入る。満点の星空が美しかった。冬の大三角もそろそろ見納めか。21時消灯。深夜でも氷点下をくだらなかったと思われる。スノーシェルターの天井のタープには隙間があったが、時折吹き込む風が心地よいほどで、充分に眠ることができた。
■4/10(日)
3時起床、身支度をしながら朝食を摂る。本日の行動に不要な荷物をシェルター内にデポし、アイゼンを装着して5時に出発。最初のピークは大岳(1,432m)。気温が高かったため雪がやわらかく、ツボ足でも充分に登れそうだった。太陽は稜線の向こう、淡々と登り続ける。
大岳に着いてようやく陽の光が差す
大岳山頂はなだらかだが稜線の風が寒く着込む
大岳からは150m弱下って登り返し。藪のなかを少し巻きながら再びなだらかな稜線へ。二口登山口へと下りる尾根が分岐する。もうすぐ守門岳だと思いながら登り続けると、それは青雲岳。山頂はもうひとつ先のピークだ。
青雲岳を越え、いよいよ守門岳山頂が見えてきた
8:30に山頂に到達。東洋一と言われる雪庇の稜線を振り返りつつ、越後駒ヶ岳、八海山、浅草岳、そして当初の行き先であった未丈ヶ岳・毛猛山方面も視界に収めることができた。
山頂を後に来た道を戻る。大岳と青雲岳の間で登り返した箇所は結構な斜面で藪を掴みながら下りた。
稜線を振り返ると雪庇にはクラックが目立つ。
さきほど滑るように下った斜面を登り返す。最後の登りがキツい。ピッケルをしっかり刺して、キックステップや逆ハの字をうまく使いながら、着実に登っていく。
大岳からは直射日光でベシャベシャに溶けた雪のうえをスキーのように滑りながらどんどん高度を下げていった。
一気に下山、視界が開けて気持ち良い
11時前に幕営地に戻ってデポした荷物を背負い、暑い暑いと言いながら下山。電車組と自家用車組に分かれて解散した。
<行程>
4/9:除雪終点10:45~長峰12:40~保久礼小屋13:30~975m地点(C1)14:40
4/10:C1 5:00~大岳6:40~青雲岳8:10~守門岳8:30~大岳10:15~C1 10:55~保久礼小屋11:40~12:30長峰~除雪終点13:25
<所感>
◯平(40期)
守門岳は浅草岳と並んで行ってみたかった山。2日間とも雲も風もない晴天で、幸せな稜線歩き。穏やかで雪山のリスクもほとんど忘れてました。幸せボケです。
◯高橋(41期)
大勢の仲間と行く久しぶりの山行のため、心待ちにしていたせいか当日はテンションMAX!その反面、登り始めに現在地や登山ルートの把握など読図を怠り、松本講師から指摘されてしまい反省。初めての縦穴雪洞の作成、宿泊はよい経験になった。大岳稜線からの眺めは素晴らしく、白い峰々が幾重も連なり、まるで海外にいるような、雄大な景色にとても感動した。しかし、下山時も読図が甘く、再反省。今回は未丈ヶ岳から守門岳へ変更となり、地形図を用意できなかったので、山と高原地図を拡大コピーし持参。しかし、地形図に比べて地形の読み取りが非常にやりづらく、地形図の必要性を痛感した山行だった。
◯秋永(42期)
初めての雪山登頂、そして雪洞泊。講師やメンバーの皆さん、ありがとうございました。松本Lの真後ろを歩かせていただき、雪質、雪崩の危険、ピッケルの使いかた、沢山のことを教わりました。雪山の登り下りの経験がほとんどなく、稜線に出たときには怯みましたが、一歩一歩足の置き方を真似しながら、おかげさまで無事に登り切って返ってくることができました。GPSや軌跡に頼ってしまい、地図や地形をまともに見られなかったのが反省です。今後の山行でも、基本的な知識と技術をしっかり身につけていきたいと思います。