積雪期は初見となる日光白根山を日光湯元から登る。湯元からの急登に備え、軽量化を図った。酒は一切なし、夕飯も袋ラーメンのみで具は一切なし。テン場での暇つぶしを目的とした本も持参しない。装備をザックに詰めて担ぐと軽い!しかし、初日の目的地である避難小屋までたどり着けるか少々不安。というのも、2月に体調を崩してから、蝶ヶ岳、硫黄岳とバテバテだったのである。
マイカーで湯元に到着、ガラ空きの無料駐車場に停める。途中の足尾やいろは坂等、一般道に凍結箇所はなかったが湯元の気温は氷点下7度。準備をして出発。営業が終了したスキー場から登り始める。第4リフト先のゲレンデを少し登ったあたりから外山の支尾根に取り付く。積雪は2~30cm程度。最初は笹が出ている箇所もあり、アイゼンが効きづらい。もの凄い急坂だが、スイスイ登ることができた。
急登が始まって1時間経過し休憩しようか迷ったが、登り切って外山鞍部で休むことにした。外山鞍部から前白根山までは、なだらかなピークをふたつ越えていく。ここで一気に外山鞍部まで登った疲労が出始める。1時間毎に休めばよかったか。天気は快晴無風。前白根山手前での日光白根山の眺めに心を奪われてしまう、とても美しい山だ。
眺めているとルンゼを直登して山頂へ行くトレースを見つけた。来シーズンはそれをやろう。ここまで誰とも会わなかったが、登山者とすれ違いはじめる。テント装備を担いでいる私を見て、皆驚いている。前白根山では冷たい風が吹いていた。7~8年前、無雪期に湯元から日光白根山を日帰りでピストンしたことがあるが、その時に比べれば体調はよい。明日は天気が崩れるので本日山頂を踏んでおこう。どうせならトレーニングがてら山頂までテント装備を担ぎあげよう、これは自分への挑戦だ。避難小屋まで下り、山頂への取付きへ。相当バテるだろうが、時間は十分ある。山頂を目指して登り始めるが、案の定バテてしまい休み休み登る。
一昨日の雪が弱層を形成しており、足がはまることもあったが、ようやく山頂直下へ。最後の登りを登って山頂に到着。
双耳峰の燧ヶ岳が聳え、その先の上越の山々はひときわ白く美しい。
湯元から山頂までテント装備を背負った充実感に浸った後、下山を開始。急斜面を慎重に下るが、突然足がはまり、前のめりに体勢を崩してしまった!すかさずピッケルのシャフトを打ち込み、事なきを得る。無事に下り、取付きと避難小屋の間に幕営。他にテントはないが、小屋にはシニア6名程度のパーティーが泊まっていたようだ。ガスの量がギリギリなので必要最低量を考えて水を作った。カートリッジから噴出するガスの音が心もとなく心配だったが、夕食・朝食は問題なく調理することができた。夕暮れ時から急激に寒くなり、夜に温度計を見ると氷点下15度。奥日光も八ヶ岳なみに寒いのか。シュラフを持参してよかった。
翌朝は予定通り4時に起床、朝食後のんびりと下山開始。前白根山を登り返すと中禅寺湖は雲海に覆われており男体山も雲に飲み込まれていく。
日光白根山は未だ青空の中に佇んでいるが時間の問題だろう。外山鞍部を目指して歩き始めると上昇気流にのったガスに包まれてしまい、粉雪が舞ってきた。外山鞍部からスキー場までの急坂を下り始める。あまりの急坂にだいぶ疲れてしまった。湯元の街にも粉雪が舞っており、天気は曇天。昨日のうちにピークを踏んでおいてよかった。今回は登山者が少ない静かな山旅だったが快晴に映えた白根山の美しい山容のおかげで不思議と寂しさを感じることはなかった。早速できた来シーズンの目標のひとつであるルンゼからの登頂に心躍らせ家路へ。さぁ、次はどこの山に行こうか。
<行程>
4/2:日光湯元8:00~前白根山12:10~五色沼避難小屋13:10~日光白根山15:00~五色沼避難小屋付近(幕営)16:00
4/3:五色沼避難小屋付近5:50~前白根山6:30~日光湯元9:20