3年前に台風による現地の通行止めでキャンセルした計画のリベンジ。
10/8(金)に白樺荘に前泊し、以降の計画は下記の通り。
・10/ 9:白樺荘→No.9鉄塔脇→小無間山→大無間山→三方嶺→小根沢山→アザミ沢ノコル付近(テント)
・10/10:アザミ沢ノコル付近→大根沢山→信濃俣→百俣沢ノ頭→光小屋(テント)
・10/11:光小屋→易老岳→茶臼岳→茶臼小屋(テント)
・10/12:茶臼小屋→茶臼岳登山口→白樺荘
■10/9(土)
晴れ。白樺荘を5時に出発、車道を30分ほど歩き明神橋を渡ったところの法面に付いたハシゴ(コンクリに埋め込まれたステップ)が登山口になる。傍らに水場があるが、水は炊事用まで見込んで白樺荘で汲んできた。
ハシゴを上って送電鉄塔の巡視路に入るとロープの連続する急傾斜で、小沢を横切る箇所が特に不安定。地形図1080地点付近のNo.8鉄塔で送電線を潜り、No.9への案内板を通過(No.9鉄塔は通らない)、1310m付近で小無間山への尾根に乗った(明神沢下降点)。尾根道はしっかりしており、古い指導標もある。いったん廃れた道が井川湖(田代)からの登山道崩壊に伴い再び歩かれるようになったということか。小無間の山頂は樹林に囲まれ落葉の散り敷いた小広場で眺望は無い。田代ルートの崩壊地を偵察しようと思ったが、少し行っただけでは見えなかった。
小無間山から三方嶺までは稜線通し、崩壊地の際を通る箇所もあるが特に問題は無い。「大無間山←→小無間山」のプラスチックプレートが何枚も付けられており、進行方向の変わる関ノ沢ノ頭(中無間山、2109m)では道迷い防止のトラロープから下がったプレートに山名がマジック書きされていた。
その先、昭文社の山と高原地図に「尾根を乗換える」とある地点は、広くなっているもののテープに従えば自然に進める。少し雲が出て薄いガスのかかることもあったが、大無間山手前では大根沢山越しに光岳を望めた。大無間はシラビソの樹林に囲まれた広い山頂で水さえあればテント適地だが、やはり眺望は無い。
山頂で休憩後、そのまま続く道を進もうとしたところ、矢印で登山道を示したプレートに「前無間 風イラズ おもり」の書込みがあった。後で調べたところ、前無間は山頂から南東に伸びる尾根の最初の小ピーク(2300m)で展望がある模様。風イラズ(不入)は南尾根の1990.5m三角点、「おもり」は尾盛駅で、南尾根を登ってくるルートがあるのだった(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3143877.html)。大無間山から三方嶺への道は山頂から小無間山側に戻ったところから分岐していた。三隈池辺りから足元が低い笹原になり、踏分け道(けもの道?)が多く付いている。
三方嶺から、西側が大きく崩壊しているのを横目に北へ向かう。
この先は光岳南の百俣沢ノ頭までバリエーションルートだが、畑薙ダム~大根沢山~大無間山も歩かれているので道は割合にしっかりしている。小根沢山(2127m)手前で行き会った大きなザックの単独女性にアザミ沢ノコルの様子を尋ねると「かなり下ってゴミだらけの水を少し汲めた」とのこと。15:50 アザミ沢ノコル(1845m)手前の等高線間隔がやや開けている地点(1920m)に到達。
ザックを置いて周囲を探索し、少し下りたところにやや斜めだが2張分の場所を見つけた。水は運び上げた分で炊事と明日の行動用をほぼ確保できたので、明朝コルの水場を偵察して汲めるならば追加すればよい。
■10/10(日)
曇り。テント地を5:30に出発。
アザミ沢ノコルの右(東)側は笹斜面で、踏分け道がいくつか付いている。傾斜が急なので、水を持って登り返すことを考えると少なくとも片手は空けておくべき。笹斜面を下り沢地形を少し辿ると岩肌に細い水流があった。そこでプラティパスに補給する一方、コルから50mほどまで下りてみても水流と呼べる箇所は無かった。ネット記事には100m下ったというものもあるが、岩や倒木で足元が悪そうだ。最初の水流も細いので、ペットボトルでは飲み口を流れに当てられないかもしれない。
コルに戻って前進、2127に上がると風が通って肌寒く(9℃)、行く手の大根沢山の紅葉もくすんで見える。
大根沢山は樹木に囲まれた空間で、ここに泊まってもいいだろう。田代沢ノ頭への尾根が分岐する地点は広い樹林だが、樹幹に赤スプレーで「信濃俣」「田代沢」と方向が示されていた。
信濃俣に進路を定めて広い尾根を下って行くと、踏み跡、テープ類が乏しくやや迷走したが、やがて明瞭な道に復帰した。しかし、その後もブナ沢ノコル(1849との間)までに踏み跡(と見える地形)に惑わされて尾根を外すこと2回、時間と体力をロスした。また、1900m付近で行き当たる岩壁では、左右に踏み跡があり岩を巻くのでは?と思われて偵察してみたが、直登するのが正解。岩に取り付いてみれば難しくないのだが、登るのか迷った登山者が左右に踏み跡を付けたのだろう。
大根沢山からブナ沢ノコルまではただでさえ急傾斜で、昨日すれ違った女性の体力にあらためて舌を巻いた。
ブナ沢ノコルの左(西)側斜面には水場に下りると思われる踏み跡があったが、確認はしなかった。
1849を越えて登っていくと尾根は細いが特に問題は無くブナ沢の頭(1913m地点)に到着。小雨になるが、空は明るい。西俣山(2107mピーク)もまた樹木に囲まれた広場の山頂。地形図で南下する道との分岐になっている椹沢山(2320m)から北に向かい、信濃俣に14:10。三角点標石に立てかけてあるプレートの文字は消え、山名はダケカンバに括り付けた小さな板で知れるのみの地味な山頂だ。
信濃俣から急降下して小ピークをもう一つ越えた信濃俣ノコル(2090m)で雨が本降りになってきた。ここから百俣沢ノ頭まで300mの登りだが、疲れてきた上にアップダウンでなかなか高度が上がらないのが辛い。17時、百俣沢ノ頭に到着。指導標には「→光小屋 ←柴沢吊橋」と記され、信濃俣方向は立てかけられた板にスプレー書きされている(柴沢吊橋はここからムギウネホツを経て下りていくルート。寸又川林道崩壊のため寸又峡へは行けない、と昭文社地図2018年版にはある)。薄暗くなる中、光小屋へと向かうが、道が沢に入った?と思ううちにロスト。暫しルートを探し、明瞭な道に戻るとすっかり暗くなって背後にはガス越しの三日月が見えていた。少し進むと今度はハイマツ帯で進路を失う。周囲を探ると踏み跡が一段下りた先に樹木のトンネル様の空間が見えたので踏み込んでみるが、到底道ではない。一段下りたところまで戻ってみると明白な道が見つかった。周囲が明るければ簡単なのだろうが、ヘッドランプでは視野が限られ思わぬ苦戦を強いられる。ふと気づくと頭上は満天の星空になっていた。ようやく一般道に合流し、光小屋に辿り着いた。
今年はコロナ禍のため小屋は営業していないが、避難小屋として開放されている。が、1階も2階も埋まっており既に皆就寝中。致し方なく小屋前のテント場に設営して水を汲みに出た。昭文社地図に「往復20分」とある水場は小屋脇からずいぶんと下った先で、水を持っての登り返しは途中で呼吸を整えなければならない。長い一日の終わりに仰ぎ見る星空では天の川に白鳥が身を浸していた。
■10/11(月)
上天気で、小屋前から見る夜明けの富士山が美しい。テント撤収し、空身で光岳山頂を踏み光石まで足を伸ばす。山頂すぐ先の展望台からは辿ってきた大無間山~信濃俣、百俣沢ノ頭からの尾根までが一望。光石の向こうの尾根に光岳が影を伸ばしていた。
テント場に戻り、6:50 出発。イザルガ岳で再び眺望を楽しみ、易老岳で小休止。希望峰から仁田岳を往復して、今回山行中の最高点となる茶臼岳に登頂。山頂は風が強いので、茶臼小屋まで下りて休憩した。この小屋も開放されているがトイレは使用不能。ここではスマホが通じる。
計画時点では茶臼小屋泊だったが、今日の行程には余裕があるので一つ先のテント場まで下りることにして、横窪沢小屋に14時半到着。ここもまた開放されていたので小屋に入れてもらう。小屋下の水場は使えなかったが、そこから沢に通じる道があり、沢水を汲んだ。光岳からこちらには思ったより人が少なく、この小屋も一晩貸切だった。
■10/12(火)
曇り。6時に出発、急降下してウソッコ沢小屋。今は無人だが小屋内の張り紙に「テント張り場は管理人にお尋ねください」とあり、幕営も可能なのかもしれない(ちょっと見たところ周囲に場所は無さそうだが)。
ウソッコ沢小屋から下は吊橋が連続する。最初の4号橋は踏板が朽ちかけた感じで頼りない。その次は設置作業中で、現状は粗末な木橋。次に2号橋を渡り、次はまた設置中で重機が入っていた。沢からトラバース気味に上ってヤレヤレ峠、長い畑薙大吊橋を渡り、8:20 茶臼岳登山口に出た。
あとは延々と道路を歩いて白樺荘に到着。温泉を楽しみにしていたのだが、迂闊なことに火曜は定休日だった。幸い休憩室やトイレを使わせていただけたので、身体を拭いて着替え、自販機のビールを飲んでバスを待った。
<行程>
10/ 9:白樺荘5:00~明神橋5:30~No.9鉄塔脇6:40~明神沢下降点7:00~小無間山10:20~大無間山12:30~三方嶺14:10~アザミ沢ノコル上15:50
10/10:アザミ沢ノコル上5:30~アザミ沢ノコル5:40-6:10~大根沢山7:40~信濃俣14:10~百俣沢ノ頭17:00~光小屋(テント)18:40
10/11:光小屋~光石~光岳小屋6:50~易老岳9:00~茶臼岳12:20~茶臼小屋12:50-13:10~横窪沢小屋14:30
10/12:横窪沢小屋6:00~茶臼岳登山口8:20~白樺荘10:30