夏が過ぎ涼しくなってきたこの頃。今年は秋の到来が例年に比べ早く感じられる。ガイドブック等によると沢登りの適期は10月末頃までであるが、今年は10月初旬頃までではなかろうかと思いこんでしまう。そこで、沢納めをしたいと思い、先週に続き沢登りの自主山行を計画した。
日向大谷口や八丁峠から入山しさんざん登った両神山の赤平川尾ノ内沢中流を遡行することにした。
西武秩父駅で待ち合わせし高橋車で尾ノ内沢自然ふれあい館へ向かい、ふれあい館の駐車場を利用。早速、沢装備に着替え、高度計をセットし入渓点を探しに歩き始める。
本日は日曜日であり天気は快晴だが、観光客は誰もおらず、お店も閉まっていた。
シャクナゲの植樹地帯を抜けてつり橋を渡り、金属製の桟橋を渡った先に取水設備の一部であろうバスタブが設置された斜面から入渓した。
スラブ状の岩のうえを勢いよく水がS字に流れている。
水流の中も苔が多く滑りやすいため、思い切って向こう岸の岩へ飛び移る。
ガイドブック通り水量は豊富で水勢も強い。少し歩くと流れは緩やかになり開けた日の当たる場所に出た。
しばらく歩くと遡行図にも掲載されている崩壊地が現れた。
水量が多いせいもあると思うが、今まで遡行した沢と異なり、突然深くなる場所が全体的に多く底が見通せない場所は慎重に足を踏み入れるようにした。
大小のチョックストーンで形成された滝が多く、登攀するような滝はあまりなかった。
4m滝
小滝
左岸から流れてくるヨセ沢の出合で現在地を再確認。遡行図を確認し次のポイントを把握し進む。ネット情報にしばしば出てくる「山の神」と呼ばれる祠がなかなか見つからない。
核心となる3段11mの滝の取付きの釜は最深2mとの情報がネットに掲載されており、不安要素のひとつであったが、取り付きまでは腰下程度の深さだった(釜の右岸側は胸くらいまでありそうだった)。
3段11mの滝はスラブ状で水流の中も滑りそうな苔が多く、右側の樋状の流れを登っていった。
その先でCS滝が出現。事前に把握した情報では、この滝は登れないため右側を巻くとのことであった。登れないのか釜を進み取り付きまで行くとつるんとしたスラブに苔が生えており、ホールドも乏しい。素直に右側を巻いていく。
相変わらず「山の神」が出てこないがそのまま進むと沢の中州に生えた樹木に小鹿野山岳会のプレートが掲げられており、このコースのゴールに到着できたことを知る。ピンクテープもついており、下山道の位置も確認できた。
この小さな中州でお昼休憩し沢装備を解くが、中州から下山道まではどうみても水流に足を入れる必要がある。裸足のまま沢靴を履き、入水するとなんと水の冷たいことか!
渡渉したすぐ先で登山靴に履き替える。下山道は急傾斜のトラバースが続くのでヘルメット、ハーネスは装着したまま下山開始。ピンクテープも多く、道幅は心細いが踏み跡はしっかりしている。急傾斜の斜面を一歩一歩確実に歩く。
沢から高さ30m程度のトラバースで道幅は15cm程度、胸から頭の高さの位置に大きな礫岩が飛び出ている箇所があり、岩を抱きかかえるようにへつり通過した。ここが一番緊張したかもしれない。
その先に沢からそびえる巨岩の上部が目線の位置にある。そこに祠があり「山の神」であることを知る。
トラバースしてきた斜面の傾斜が緩み、日が射すエリアに出てくると急にピンクテープがなくなり、踏み跡も乏しくなった。辺りをよく見ると登山道は沢を渡り対岸に続いていた。対岸に渡ると再度急傾斜地のトラバースとなり、地面はいかにも滑りそうな赤土である。道は1m程度崩れ気味であり、トラロープが頼りない木の根に設置されている。試しにロープを引くと木の根も遠慮なく引っ張られ、とても荷重をかけられるものではない。ロープに荷重をかけないように足元をしっかりと決めてからロープを持ち替え、だましだまし通過する。ここも沢からの高さは30m程度ある。
その先は次第にしっかりとした道になり、入渓点にたどり着き、つり橋を渡って駐車場に無事到着した。
沢から出ると日差しが強く、本日は夏日であることを気付かされた。帰路は薬師の湯で汗を流した。
<行程>
尾ノ内沢自然ふれあい館10:00~小鹿野山岳会プレート12:00~尾ノ内沢自然ふれあい館12:44