中ノ湯から入り、山中2泊で霞沢岳の西尾根を上り南尾根を下る計画だったが、悪天に捉まる前に撤退した。
■12/30(水)
大晦日から元旦にかけて大寒波・荒れ模様の予報だが、現地での天候判断としてあずさ5号で松本へ、バスで中ノ湯に12時半着。
釜トンネル入口で身支度して13時出発、小雪。
釜トンネル内は乾いており、真っ暗な中を車が1台通過して行った。続く上高地トンネルを抜けると、上高地で遊んできたのか霞沢岳に登ったのかした人たちとすれ違う。天候の崩れる前に下界に戻るならいいタイミングだ。
砂防工事事務所への道を入ったところに尾根に上がる踏み跡があったので、それを利用する。-3℃、相変わらず小雪。
ツボ足で尾根に上がると風が吹き出した。間もなく滑りそうな斜面が出てきてアイゼン装着。電柱を過ぎて西尾根の本体に合流。今朝か昨日のものと思われるトレースが続いている。
尾根の末端は緩やかだが、1650mを超える辺りから傾斜が急になる。樹林で風も穏やかと思うと吹き抜ける箇所もあり、そういったところではトレースも飛雪に埋まってしまい、外すと膝上まで潜る。雪をかき分け倒木を潜り、かと思うと急斜面にアイゼンの前爪を立てて身体を持ち上げ・・・となかなかに疲れる。
風が強まる中で16時近くなりテント場を物色していると、右側に立ち上がった岩が風避けになるスペースを発見(1840m付近)。周囲からサラサラの雪を補充の上で整地してテント設営した。
明日から明後日の天気予報はやはり大荒れ。登頂の可能性は捨てないが長い南尾根を下りるのは無理と判断、明日はテントをここにデポして行けるところまで行って戻り、そのまま下山するかもう一泊するかは状況に応じて決定することとした。雪はほぼ止み、夜中に風がテントを揺らすこともほとんど無かったが、時折梢が鳴っていた。
■12/31(木)
朝、雪は止んでおり、周囲の風も遮られてテント場には届かない。食事してテントをたたみ、宿泊用具は岩陰にデポ。ただし非常用にテントのフライとガス・コッヘルセットはザックに入れる。6時出発。
テント場の風避けになってくれた岩を踏んで行くと、間もなく1870m付近の急斜面が難所。赤テープは付いているのだが上部に手掛かりが乏しくその先が見えず、「厳しい」と言いながら上がると平坦になっていた。ここを下る時は懸垂下降になるだろう。その先で岩に突き当たって左に行った斜面のトラバースも足元の雪が頼りなくて嫌だ。
1900mを超えて尾根が右寄り(南東)に向きを変えると尾根幅が広がり傾斜も緩み、樹林の間にテントを張りやすそうだ。しかし、昨夜のうちに降ったのかトレースは消えてしまい、ラッセルが増えてきた。特に2000~2050m付近は急傾斜のサラサラ雪を掻き落とすとササが出てきて、足場を取るのに難渋した。息を切らせて上りきると8時、-14℃。
休憩していると地元らしい3人パーティが下りてきた。この先に泊まって途中まで登ったが、強風のため撤退とのこと。自分たちもせめて樹林の切れる地点までは行きたい。
その先は3人の付けてくれたトレースを辿って淡々と(それなりの傾斜ではある)登るが、まだ樹林のうちにトレースも尽きた。前に見えている高まりまで行けば先が開けるのではと思って足を進めるが、2250m地点で9時となり時間的に区切りもいいので今回はここまでとした。樹林を出ることも叶わなかったが、残雪期のリベンジを考えよう。
下りは速く、10時にテント場に戻った。懸垂下降と思っていた難所を通らなかったのは、3人が安全なルートにトレースを付けてくれたのだろう。そう思ってみると、自分たちはテントの背後の岩を上がって行ったのだが、下りてきたのはテントを張った雪面。今度来る時のため、この1840mの岩を覚えておこう。
テント場の岩
デポした荷物を詰め直した重量でトレースを踏み抜き踏み抜きして砂防事務所まで下り、中ノ湯バス停(釜トンネル入口)に12時帰着。
次のバスまで3時間も間があり、停車していたタクシーが松本まで1万円というのでお世話になった。
<行程>
12/30:釜トンネル入口13:00~砂防工事事務所14:00~西尾根1840m付近(C1)16:00
12/31:C1 6:00~西尾根2250m付近9:00~C1 10:00-10:20~砂防工事事務所11:30~釜トンネル入口12:00