台風13号が太平洋沿いに変針し本州を縦断しなくなったため、嬉々として北アルプスに向かった。涸沢で快適なテント泊をし、北尾根はガスが多かったが渋滞もなく順調に登り、前穂高岳を踏んだ。
■8月9日(木) 晴れ
宇田川さんに田中、保岡の順でピックアップしてもらい、首都高、中央道を乗り継ぎ、10時、順調に沢渡に到着。駐車場代600円/日は前払い。タクシーで上高地へ。バスは1,250円、タクシーは3名ならば1,400円/人なのでタクシーを選択した。
平日にもかかわらず上高地は人出が多い。制服姿の女子学生がたくさんいた(喜)。明神、徳沢、横尾と進むにしたがって人が少なくなる。台風の影響で登山者はキャンセルが多いようだ(横尾山荘の従業員談)。
横尾山荘には安心登山勉強会の自由人「星さん」が勤務しており、エールを交換した。11月の小屋閉めまで勤めるとのことなので横尾に立ち寄った時は声をかけてあげてください。寂しがってます。
横尾から本谷橋の間でパトロールが「熊の目撃情報」を教えてくれたので注意しながら涸沢に向かう。重荷の縦走は久しぶりなのでヘロヘロになりながら涸沢に到着。テント場はガラガラだったのでヒュッテに近い場所を取って設営し、ビール、ビール、ビール! 夕食は保岡さん定番の鶏塩鍋で涸沢の夜は更けていく。酔って騒いでパトロールのおねいさんに怒られたので就寝した。
■8月10日(金) 晴れ、ガスがたなびく
3時に元気に起床し、テントをたたんで5時に予定通り出発。雪渓沿いに5.6コルに向かう。ガレている急登を小一時間登るとコルが見える。
5.6コル手前
九十九の急登の途中で若い男女のパーティとすれ違った。以下の理由でリタイヤしたとのこと。
1.ガスが午前中は晴れない予報
2.12時からの雨予定が早まっていること
3.初めてのルートなので視界が悪い中のルートファインディングは自信がない
不吉な感じを残しつつ、とりあえず5峰まで行ってみることにした。
5.6コル
5峰は稜線にハイマツ沿いの踏み跡がついている。岩稜に出るとⅡ級くらいで、尾根を外さないように注意して進む。
5峰
4峰は奥又側、涸沢側両方に踏み跡があって迷うが、松本さん情報に従って奥又側ルートを選択する。やはりⅡ級のルートで手足を使って高度を上げる。どこまでトラバースしてどこから尾根に上がるかの判断が難しく、行ったり来たりした。
4峰
核心の3峰。幸運なことに5、4峰ではガスっていた空が晴れている。ここはガンガン行くしかないのでロープアップした。軽量化のために50mシングルと20m補助ロープしか持ってきていない。
セカンドがインラインエイトノットで追随するので25m以内でピッチを切る、どうしても足りないときは補助ロープを使い、35mMAXにしてロープを引き戻す作戦で臨んだが、25mで十分ピッチを切れた。
3峰
○1ピッチ目 Ⅱ 20m
3.4コルから歩き。2ピッチ目の確保点は人工物がなかったのでピナクル2か所で確保した。
○2ピッチ目 Ⅳ 25m
確保点から大岩を奥又側に巻いて登る。体が宙に出るところが怖いが左手を伸ばせばガバがある。
ランナーは古いハーケンかリング、初めて見るプルトップ状の金物。ルートは折れ曲がっており、ロープの流れが悪い。また、いろいろなルートが取れそうなので迷う。2ピッチ目の開始点直上の大岩の左あたりでピッチを切った。
○3ピッチ目 Ⅲ 20m
ルンゼを直上する。巨大なチムニー手前のハーケンが連打されているところでピッチを切った。
○4ピッチ目 Ⅳ 25m
チムニーの左側のスラブを登る。途中、悪い一枚岩があり、微妙な体重移動でバランスを移しながらクリア。
○5ピッチ目 Ⅱ コンテ
スタカットでスタートしたが、容易なルートのためコンテに切り替えて全員で進む。気が付いたら2峰の懸垂点にいた。残置スリングの束に20m補助ロープをセットし、順番に懸垂。
1.2コルから10分足らずで前穂高岳山頂に到着。山頂にいた人から賞賛を受けうれしはずかしだった。
2峰
ここから奥穂高岳へ向かう計画だったが、吊尾根で高山病症状の出たメンバーがいたため予定をあっさり中止し、岳沢にエスケープした。
■8月11日(土・山の日)
岳沢のテントを7時に撤収し、上高地に下山。
時間があったので白骨温泉「泡の湯」によって英気を養った(混浴で)。
<行程>
8/ 9 上高地BT10:45~横尾13:20-13:40~涸沢16:40(テント泊)
8/10 涸沢5:00~5.6コル6:40-7:00~5峰7:40~3.4コル9:10-9:30~前穂高岳12:40~岳沢17:20(テント泊)
8/11 岳沢7:00~上高地BT9:00
<メンバー所感>
■保岡
荷物の重さが堪えたのか自分も岳沢の下り時に高山病になり頭が痛く注意力が低下してしまい、足首を捻ったりの満身創痍でした。今後の縦走は荷物の配分に気を付けて、混浴時だけは田中さんをみならって率先してリードしていきたいです。
■宇田川
荷物は重かったが北尾根は先輩のアドバイスもあり上手く歩けたと思う。最近お約束になりつつある高山病で今回も皆さんに迷惑をかけてしまいました。来年以降は何か対策が必要と感じてます。
■田中
重荷のクライミングは足にくるなーという感想と白骨温泉の混浴しか記憶がない。
松本さん、いつもアドバイスをいただきありがとうございます。宇田川さん、車の運転や諸支払いなどお世話をしていただいて申し訳ないです。保岡さん、鶏鍋といつも笑わせてもらってありがとう。
ベルクハイル!