北栃木・葛老山

  • 期間 2018-02-18
  • メンバー L松本、SL鈴木百(25期)、小林英(25期)、飯干(26期)、舘(27期)、古谷(29期)
  • 記録 古谷

当初は前夜発で会津磐梯山を予定していたものの天候が悪く、3日前に北栃木の葛老山(かつろうさん)に変更。当日の朝、東京方面からは東武鉄道(野岩鉄道・会津鉄道乗り入れ)の特急で向かう。東京は晴れていたが、乗車前に降車予定の川治湯元駅より5駅先の会津高原尾瀬口駅から終点までの区間については大雪のため運休との案内があった。どこから天気が変わるだろうと車窓から見ていると、下今市駅では薄曇り程度でまだ新しく降った雪も見られず、山間に入って鬼怒川温泉駅あたりでやっとうっすら地面に残り始めた程度で、川治湯元駅でも積雪は数センチ程度だった。気温はそれほど低いとも感じられない。雪は僅かにちらつく程度でほとんど降っていなかった。下り列車は川治湯元まで問題なく運行したが、メンバー1名が利用する予定の上りが会津方面の大雪で遅れ、全員集合まで駅前でのんびりと身支度をする。

9:40、駅を出発。駅のすぐ上を通る国道121号へ、ロータリーの駐車場脇から斜面を登ってショートカットする。取付きまで国道を歩く途中、左側の山の斜面が広く切り開かれ、見上げると上方に鉄塔が見えるのを確認。9:55、水準点(568.8m)付近のチェーン着脱スペースの設けられたカーブの内側にある法面の階段下で高度計を合わせ、階段を上ってツボ足のまま尾根に取付く。

登り始めは階段から続く道を辿る。少し歩くと騎馬の石仏がある。10:10頃、最初の大きな岩場が出てくる。岩に赤ペンキで何か書いてあるが読み取りにくい。ここは左側から巻いていく。尾根の様子を見ながら進むが、だんだん尾根から遠ざかっていくので、頃合いを見て尾根に上がるべく斜面を登る。岩と土の斜面に枯葉が積もり、さらにその上に雪が乗っている状態で登りにくい。途中でアイゼンをつけてやっと尾根上に戻った。IMG_2130w

標高750mあたりから一旦痩せ尾根になる。登山道が整備された場所ではないものの、草が枯れているので本格的な藪漕ぎにはならない。しかし、腰丈まである笹が葉を落としても棒状に生えたままとなっていて、まとまっているとそれを押しやって通ろうとするこちらの体を跳ね返すが、へし折るにはきりがない。また、樹木の隙間を通る際に体やザックなどに引っかかる。(この状況が地形図の980.1m小ピークまでずっと続いた) 笹に辟易しつつ、11:05に国道から見上げた鉄塔に着き、先ほどと逆に国道や駅を見下ろす。標高が上がるにつれて積雪が少しづつ増していく。

途中から鹿のトレースが尾根上に合流する。尾根が急になる手前で足跡は逸れていき、鹿はこの先には行かないのかと我々が真面目に尾根をよじ登ると再び鹿トレースが現れるということを何度か繰り返した。岩の混じった尾根を直登したり巻いたりで20分ほど登り、11:20過ぎ、標高820mで平坦な場所に出た。久しぶりの雪山でアイゼンの爪を岩に掛けて登る感覚をすっかり忘れてしまい、だいぶ時間を使ってしまった。雪はさらさらのパウダースノーというわけではなく、心持ち湿気っているように感じる。休憩を取りつつ、この先は傾斜が落ち着くので足元をアイゼンからワカンに変える。

ここからはなだらかで気持ちよく歩けた。尾根は痩せていて、たまに岩もあって足元が慎重にはなるけれど、葉の落ちた木々の隙間から周りの景色を見ることができた。地形図の848m地点のすぐ先にある850m小ピークに設置された反射板の脇を通る。さらにその先、標高900mに上がる少し手前に大岩があり、ここは左側から巻いた。取付きからたびたび出てくる岩はおおかたここまでとなった。IMG_2142


尾根は相変わらずずっと痩せたままであり、鹿のトレースはしっかり小ピークを巻きながらもずっと尾根上を辿っていたので、引き続きラッセル泥棒をすることとなる。12:30、地形図の891mの小ピークに立ち、地図を見てこの真下にトンネルが交差しているんだねぇと足踏みする。朝までに降り積もった雪はだいぶ多くなっていて、ワカンを履いていても脚のすねまである。先頭を交代しながら順調に進み、13:10過ぎに980.1mピークに立ち、二度目の休憩。風が北から少し強く吹いてくるようになった。歩きを再開して少し下ると尾根が広くなる。風に撫でられて雪の表面が締まり、踏みしめる感触が良い。ズボズボと上から穴ぼこを開けるように歩く。
IMG_2144w立派な鹿トレース/尾根を行く

14:00少し前に地形図の972m地点に着く。進路の右前方、ほぼ真北の方向を見ると、今いる場所から少し距離を置いて送電線と、その下の木の切り開かれた白い雪面のラインが、真っ直ぐ向こうの尾根まで通っているのが見える。松本さんが尾根と送電線の交差する場所を示して、2時間後にあそこを通るんだと言う。事前の地図の読み込みではルート上ばかり見ていて、972m地点の真北に送電線が伸びていることに気付かなかった。2時間後をちょっと楽しみにしながらまた歩く。順調に進むが、北寄りの風が冷たく少し雪も混じってくる。日も傾き始めていることに気付き、少し焦る。
IMG_2146下山路を見る

14:20過ぎ、しばらく続いてきた広い尾根から、地図には載らない程度の小さな鞍部に降りて、そこから再び傾斜が増す。距離は短いが意外と斜度があり、また雪も深くて、登ろうとしても足元が崩れて段差を大きくするばかりでなかなか上がれず苦労する。なんとか這い上がって、斜度が緩くなってきてからもう少し進むと、一気に広く開けた。14:45、北東方向にある湯西川温泉駅からの登山道と合流するあたりに着く。思いのほか人が来た跡は全くなく登山道がどこにあるのかさっぱりわからないが、木に取り付けられた小さな標識を確認し、西寄りに進路を変えて山頂へ向かう。風はいつの間にか落ち着いていた。山頂までは広くて傾斜のそれほどない尾根歩きとなるが、まだ少し距離があり、地味に体力を奪い続ける。先頭交代しながら最後のひと踏ん張りをして、15:05に東屋の先に設置された山頂標識に到着。疲れているが皆明るい。IMG_2150w

予定より遅くなっているので、10分足らずの休憩で下山を始める。15:27、歩いてきたトレースから湯西川温泉駅に向けて北東に分かれる。踏み跡はないが、なんとなく雪面がへこんで続いているところがおそらく登山道だろうと見当をつけて、ここからは細かく地図とコンパスを見ながら進む。積もっている雪は見た目ではどこから変化するのか判らないが、北側斜面に入ったとたんに、すっと粒が小さい乾燥した雪に変わった。標高1050mあたりは乗りたい尾根の左の谷筋から、登山道と思しきへこみを辿って少し迂回し、あとは尾根の上をあまり外さないように意識しながら、へこみ部分を辿ったり、つづら折りで折り返してくる次のへこみまで真っ直ぐショートカットしたりして、尾根をぐいぐい下降する。途中、恵比寿様や大黒様の木彫りが置かれていた。標高980m辺りで進路を北寄りに変える。へこみは、歩けばすぐ下が硬くなっているので歩きやすいが、たまに突然太腿まではまるので結局歩きにくい。尾根を辿りたいのもあって、標高920mまでほとんど斜面をショートカットで降り、その後は完全にへこみを無視して忠実に尾根を歩く。

16:10過ぎ、再び鉄塔が出てきた。進行方向の右手となる南側を見ると送電線が真っ直ぐ延びた先に尾根があり、2時間前にあのあたりから今いる場所を見ていたのだと確認する。そこから少し下り、標高790mの尾根分岐がはっきりしてくる辺りで、どの尾根を行くか少し迷う。樹林が杉の植林となっているため少し暗くて見通しにくいが、道の駅の建物の西側を目指したいので、このまま真っ直ぐ続く尾根ではなく、その左の尾根だと確認して進路を改める。下りていくと標高770mあたりからはっきりした登山道が出てきた。登山道を辿りながら湯西川温泉駅16:30発の電車が鉄橋を渡る音を聞く。16:40、目指した道の駅の駐車場に下山。湯気の立っている足湯を横目に急いで装備を解いて閉店前の道の駅で買い物し、次の列車で帰途に就いた。

<行程>
川治湯元駅9:40~R121水準点568.8(尾根取付き)9:55~尾根上848m地点11:40~980.1m三角点13:20~葛老山15:10~湯西川温泉駅16:40

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