翌日のメインルートの前哨戦で短時間で行けるルートとして選んだ山で存外楽しめた。
天気予報は降水確率50%くらいで不安だったが結果的には好天に恵まれ、短いアプローチ、1ピッチといえども岩登りが楽しめたので三拍子揃ったというところか。
下山後は下仁田のナイスなスーパーマーケット「Aコープ」で食材を買いだし、テントで下仁田ネギ鍋、ビール、日本酒「谷川岳」、焼酎「黒霧島」と統一性がない宴で幸福感に浸った。
上信越自動車道の碓氷軽井沢IC付近の北方に見える双耳峰が高岩である。東が雄岳、西が雌岳。雄岳は北峰と南峰の二峰。雌岳はP1、P2、P3の三峰を頂いている。
ルート的には恩賀集落の登山口から入山、八風平に下山なので下山点に駐車し、登山口まで下り道を30分歩いた。登山口には標識があり、取付きはわかりやすい。
登山口からは落ち葉が堆積した沢地形を緩やかに登ると大岩に祠を発見。そこから急登が始る。30分ほどであっけなく雄岳、雌岳のコルに出る。アプローチは短い。
左が雄岳、右が雌岳 / コルの風景
東方へ尾根沿いに10分ほどで雄岳の基部に到着。北側(向かって左)にも踏み跡があり間違えやすいが、南側(右)にトラバースすると薄暗いルンゼの壁に摩利支天の石塔がある。北峰と南峰を分けるルンゼでそこを登る。
雄岳のルンゼ
鎖がぶら下がっているが下部がハング気味なのと上部が見えなくなっているので鎖の補助としてロープを出した。下部はチムニーでザックをすりながら登り、途中ハング気味の部分で体がチムニーから露出する。中部は階段状で簡単。上部は垂壁であるがガバガバで登りやすい。
上部のテラスまで25mくらいでランナーは4か所、鎖用のリングと岩角にとった。アンカーは上部テラスの鎖用のリングと立木の2か所。上部のテラスから左右に北峰と南峰に登れて南峰のほうが広かった。下りは鎖用リングに30mロープを2本つないで懸垂下降。
アンカー1
コルに戻って雌岳に向かう。踏み跡が明瞭で10分もかからずにP1。先ほど登った雄岳が見える。
雌岳P1からの雄岳
5分もかからないでP2の取付。P2はナイフリッジに岩壁がくっついている変わった形の岩場。ナイフリッジのボルトに1か所、岩壁のボルトに3か所ランナーを取り、ビレイポイントは残置スリングと立木にスリングと環付で取った。手も足も豊富で快適な岩登りだった。
雌岳P2からビレイポイントを見下ろす
P2の見晴らしは素晴らしかった。なぜかアルミのパイプが一本放置されていた。強風のため寒くそそくさと撤収した。
雌岳P2のピーク / 雌岳P2から見たP3
P2も30mロープを2本つないで懸垂下降した。ロープの回収をしている間に先行組がP3まで到達。
雌岳P3を愛でる功さん
雌岳P3からは八風平に向けて下降していく。途中20mくらいのルンゼがあり、FIXロープで下った。
下山も30分くらいで全体的にコンパクトなサイズの中にいろいろ詰まった箱庭的楽しさがあった。
<メンバー所感>
■鈴木
久しぶりの西上州。
打田鍈一氏の『藪岩魂』から2ルートにトライしたいという田中さんの計画に加えてもらった。
高岩は核心はピリッと辛いが、下山となると糸がほどけるように素直に車道に下りられる。
たっぷりの乾いた枯れ葉がいい匂いで、気持ちよくそのまま温泉、そして下仁田ネギたっぷりの鍋……。
■保岡所感
高岩(西上州の山)は人里が近く感じられ好きな山域の一つです。
取りつき一発目のルンゼを30m登攀が今回の核心だと思います。懸垂下降あり登攀要素ありとコンパクト登山のわりに楽しめました。苦手な下山も30分と助かりました。
■小林
上信越道を長野から東京に向かいトンネルを抜けると現れる巨岩塊の奇岩、山行帰りに気にはなっていたものの、登る日が来るとは思ってもいませんでした。遠目から見ても満足できる山、登っても満足できる山でした。
30mのチムニーの鎖場にP2の1ピッチのクライミング最高に楽しめました。田中さんリードありがとう!!
■田中所感
最近、ボルダリングの低い登りばかりやっていたので、1ピッチとはいえ、20m以上の高度は緊張した。
上野村の国民宿舎の温泉は600円と安くて設備が良く素晴らしかった。
<行程>
高岩登山口10:30~高岩コル11:07~雄岩12:00~雌岩P1 12:38~雌岩P2 13:49~雌岩P3 15:00~八風平15:30