甲武信岳周辺で真ノ沢古道を探す地図読みの計画だったが、折からの長雨と大型台風の襲来で沢筋は危険と判断し、尾根道へと急遽計画変更した。予想通り2日間とも雨に打たれながらの地図読みであった。雨天とぬかるんだ足場などの悪条件でのヘビーな山行に心も筋肉も悲鳴を上げたが、ビバーク地のキノコ鍋と下山後の笛吹の湯で心も体も温まった。
■10/21(土)
東沢と西沢を分ける二股吊橋を渡ったすぐ先から石塔尾根に取付いた。今回は読図講習なので参加者が交代で先頭を歩き、地図、地形、高度を見ながらナビゲーションをした。
取付き点からの九十九折の急登はウォームアップには厳しい。レインウェアでの登高で必要以上に汗をかきながら明るい広葉樹林帯からトンネルのようなシャクナゲゾーンに突入した。シャクナゲはしっかりとした幹なので漕ぐのに相当な力が必要だ。1648m地点の鷹見岩が遠い。途中、カモシカのくぐり岩で癒されて鷹見岩に到着。鎖の岩場をやっとこ乗り越えた先が絶壁だった。岩も滑るし、よりによって雨の日に登る場所ではなかった。
慎重にクライムダウンし、岩を巻いた先のコルが西沢と東沢をつなぐ古道だった。帰路は西沢に下りる選択肢を残しつつ、次のポイントの西滑頭へ。ここから先は倒木が多く、跨いだり潜ったり滑ったりで歩きづらい。倒木を迂回するため、ルートを外さないようにコンパスを睨みながら歩く。石塔頭は発見できないまま林道に出た。林道を登りきり、平になったところでビバーク。
夕餉は持ち寄り鍋。白湯スープの肉鍋のはずがマイタケ、エリンギ、エノキ、シイタケとキノコを持参した人が多く、キノコ密度が高い鍋になった。暖かく、おいしかった。
■10/22(日)
4時起き6時出発。昨日より雨脚が強くなったため国師ヶ岳登頂は断念し、これ以上天候悪化しないうちにと撤退を決定した。帰路も交代でナビゲーション。さらに悪くなった足場に尻もちをつきつつ、西沢渓谷に戻った。
台風接近に伴う風雨、特に風がとても冷たく、冷え切ってしまった体に「笛吹の湯」(510円也)は天国の気分。その後、お腹を満たすために入った喫茶「夢乃家」の馬刺しとほうとうは絶品だった。西沢渓谷付近の山行の帰りにはぜひお勧めしたい。
<メンバー所感>
■鈴木百
雨続きの天候のため、ルートを谷筋の真ノ沢林道から石塔尾根に変更した。
変更は正解で、尾根上から見えた東のナメ沢は、信じられないような勢いで白く太い滝を落としていた。
鷹見石の先、東沢と西沢をつなぐ旧道も確認できたが、同様の理由から一般道には下りず、帰路も石塔尾根を末端まで歩いて下山した。
今回、はじめてiPhone7のGPS機能をFieldAccess2を利用して試した。1泊2日の行程を入れっぱなしの状態で使用。ちょうど1回分のバッテリーを消費した。位置情報は許容範囲の正確さ。
■二見
読図は地図を片手に離さず持って現地とにらめっこしていく方法と、今回の様に山中テント泊のかなり実践的な講習があります。雨中行程の関係や時間的な制約もありました。
2万5千分1地形図では、現場の25,000mmが地図上の1mm、つまり25mが1mmです。100mで4mm、今回の林道合流地点での鞍部へのズレはその程度まで熟読すれば発見は可能だったのではないでしょうか。結果論ですが。
GPSも随分進歩して便利で安全性は高まりました。しかし、落としたりした時のことを考えると、地図読み能力を鍛えていかなければなりません。
あと、尾根上では地図にない「境界杭」情報は使い方によっては倒木を避けられる道を教示してくれる事もありそうです。読図は下りで能力が問われますね。
■成瀬
自分ではこんな天気の時に山に行くことは絶対にないので良い経験になりました。
皆様、水をボッカして頂きありがとうございました。
■小林功
今回の山行は終始雨、足場も悪く、ここ最近で一番濡れた山行になった。
読図で気になった点は、同程度の標高の小ピークが続いた際に、現在地を実際より先のピークと判断してしまったこと。雨だったせいか足早にもなり、丁寧に読図する意識が欠如したと思われる。今後は同じパターンの時は丁寧な読図を心がけたい。
■宇田川
ルートを大きく外れる事はなかったが現在地特定では間違うことが多々あった。自分では確かだと思っても間違っている事もあると考え行動しなくては大きな迷いに繋がると感じた。
今回は台風が近づいていたため気圧の変化が大きく、高度計の数値をどの程度信頼して良いのか迷う事があった。気圧変化の高度計への影響について勉強してみようと思う。
厳しい環境での山行でしたが楽しかったです。なんだかんだで椎茸鍋美味しかったです。
■田中
苦手な地図読みに取り組み、好感触を得た。悪条件だっただけに読図だけに集中出来た。次の山行でも地図と地形を照らし合わせて歩きたい。
今回はスマホのGPS機能の検証というテーマがあり、androidアプリ「YAMAP」を利用した。機内モードで6時間稼働させたら電池残量が10%を切りました。容量2,200mAhの自分の機種では実用に耐えないです。
最後に終始指導してくださった百合子さんと車を出してくださった功さんに感謝いたします。
<行程>
10/21 西沢渓谷駐車場10:00~二股吊り橋10:40~鷹見岩12:57~西滑頭15:11~林道16:40
10/22 林道6:00~西沢渓谷駐車場11:40