今回練習したことは、懸垂下降時の自己脱出、ビレイヤーの自己脱出、渡渉方法、チロリアンブリッジによる渡渉であった。本科生は別メニューで結索などクライミングの基礎を学んだ。
1.懸垂下降時の自己脱出
なんども教わるが日頃使わないのですぐに忘れてしまう技術がある。それがレスキュー技術。しかし、さすがに自分は先月やっているので随分と覚えていた。
シチュエーションはバックアップなしの懸垂下降時にロープが足りない、キンクしたなどのトラブルに遭遇した時の登り返し方法の勉強である。
まず、仮固定。ルベルソ、ATCガイド、エイト環などの確保器を、左手でデバイスを固定し右手でミュールノットで仮固定、ミュールで伸ばしたロープを確保器上部にオーバーハンドノットでバックアップする。ミュールノットを作る箇所は確保器を保持しているカラビナかハーネスのビレイループ。
仮固定で両手が自由になったら、確保器より上部に2か所のマッシャーを作る。上部は体を保持するためであり、PASなどを使っていれば長さ調節がしやすい。自分の手の長さに合わせていくつ目のボルトがちょうどよいかを覚えておくと便利。下部は足で立ち上がるためであり、ナイロンの太めの120cmスリングが良いが短いと足が上がらないし長いと高さが稼げない。また、スリングに結索を作って長さ調節する場合は、きつく締まり過ぎるのを避けるためエイトノットなどほどきやすい結索にすると良い。
下部のスリングに立ち上がり、上部のマッシャーを引き上げテンションをかけると確保器を外せるようになる。ルベルソ・ATCガイドなどガイドモードのある確保器の場合はバックアップに使う。
訓練では登り返した後、再び懸垂に戻る。仮固定しなおし、下部のマッシャーを解除、テンションを確保器に移してから、上部のマッシャーを解除、仮固定を解いて懸垂に移行する。
2.ビレイヤーの自己脱出
シチュエーションはトップにトラブルが発生し、ビレイヤーが救出に行く、救助を呼ぶなどその場を離れる時の技術。
まず、ビレイヤーの確保器を仮固定し、両手を自由にしてから、確保器の上部にマッシャーをかけ、セルフビレイしているパワーポイントにスリングでつなげる。テンションをマッシャーに移してから仮固定を解除し、ロープを外す。その際、マッシャーが外れたときのバックアップとしてロープにエイトノットを作り、パワーポイントに連結する。
3.渡渉方法
縦走時に川の増水などで渡渉を余儀なくされることがある。また、そもそもルート上に渡河点があり、予定されている渡渉もある。水の流れは思いのほか強く、膝くらいが比較的安全に渡れる限界で腰くらいになるとなんらかのバックアップが必要になる。今回は数種類の渡渉訓練をした。
(1) 1名で渡渉
ストックで川底を探りながら、腰を落としてすり足で渡渉
(2) 2名で渡渉
互いにハーネスまたはザックのストラップを掴んで川の上流を向き体を45度くらいに開いて下流のほうに斜めに渡渉。「いちに、いちに」と声をかけて足並みをそろえる。また、2名で向き合い両肩を掴んで流れに横向きになり渡渉。自分はこちらが流れの抵抗が少なく、やりやすかった。強い人が先に立って後ろ向きになる。
(3) 3名で渡渉
2名と同様であるが体力のない人を真ん中に入れてサポートする。流された時のリスクや動きやすさを考慮し、3名を目安とする。
(4) 渡渉の確保
トップが渡るときのシチュエーション。アンザイレンしたトップが上流から渡渉する。ロープは川幅の2倍の長さが必要。トップが溺れたときは急いでフォローが手繰り寄せる。フォローの位置より下流に行く前に岸に寄せなければならない。また、フォローのロープの末端は立木などに固定する。
(5) 三角法
上流側のロープを立ち木などに固定。フォロー(確保者)のロープの末端にはザックを固定する。トップはカラビナにロープを通し、固定しない。ロープは川幅の2倍の長さが必要。
リードが溺れたときは急いでフォローが手繰り寄せる。(4)より引き寄せやすい。
フォローの位置までに岸に引き寄せられない場合は、末端に結んだザックを投げ込んでリードが掴まる手掛かりとする。
(6) フォローの渡渉
ロープに直接環付きをかけ渡渉。ロープに近いほうが沈したときしがみつきやすい。
4.チロリアンブリッジによる渡渉
対岸の木から此岸の岩にロープを渡して川を滑り渡るアトラクション。岩は石八。
八の字が外れないようにスリングで渡りを入れていた。自分は初めてのアトラクションだったのでスピードが調節できず、えらい勢いで滑り落ちた。手袋は必携。