八ヶ岳/阿弥陀岳北稜

  • 期間 2017-03-04~2017-03-05
  • メンバー L小林功(32期)、保岡(32期)、田中(35期)
  • 記録 田中

冬期登攀プランで阿弥陀岳に北稜から登頂した。
ヤマテンの「好天」という非常に短いコメントがすべてを表すほどのいい天気だった。天候に恵まれ、トレースもしっかりついていたので順調に北稜を登攀し、阿弥陀岳山頂で富士山を筆頭に北アルプス、中央アルプス、南アルプスの360度の眺望に感動した。

■3/4(土)
今期何度目の南沢だろうか。1月、2月、3月と雪が減ってゆくことを観察するくらいしか楽しみがない。気が進まないうえに結構登るので美濃戸山荘から南沢は精神修行にちょうどいいかもしれない。唯一、美濃戸口で先行した若い女性2組に追いつき、お話をしたことに心が和んだ。
基本的に重い装備にぶつぶついいながら行者小屋に到着。行者の看板の前の一等地が空いていたので素早くテントを設営し、取付きに偵察に行った。赤岳阿弥陀分岐から阿弥陀方面に数分行くと北稜尾根の末端部があり、トレースが付いていた。他に中岳沢の中盤から直接第二岩峰にトラバースするルートもあるとのことだが、我々は末端部から樹林帯を抜けていくルートにした。
1_163413

■3/5(日)
4時起床、5時過ぎ出発予定だったが、行者名物のトイレ渋滞やもたもたで6時出発。ビーコンチェックをして歩き始めた。偵察通りに尾根の末端から取り付き、汗をかかないように息が上がらないように牛歩戦術でジャンクションピークを目指した。
2_065355

樹林帯を抜け、雪壁をアックスとキックステップで乗り越え、ジャンクションピークに到着、一本とった。しばしの休憩の後、目の前の岩稜目指して急勾配の雪稜を時にはアックスをぶち込み、時には木にすがりながら登り、第一岩峰に着いたと思ったら、第二岩峰だった。第一岩峰は気が付かないうちに乗り越えていて驚いた。

ロープの準備をして(小林)功さんのリード。環付にムンターで田中が確保、確保点は古いハーケン2本に新しい残置ロープスリング。ほどなくロープアップ、続いてプルージックで保岡さんがフォローした。2P目は田中がリードし、岩雪氷のスラブ状の岩稜を快適に登攀した。ランナーをとるピナクルも豊富で不安は感じなかった。通常ならばおそらく1P終了点となると思われる2つのペツルボルトで確保し、保岡さん、功さんの順に登ってきた。
3_083604

3P目はコンテで行けそうだったが、念のため功さんがリードし、田中がグリップホールド。功さんはナイフリッジを越えた雪稜にアックスで自己確保し、肩がらみでフォローを上げてくれた。
4

山頂ではその絶景に居合わせたすべての山ノボラーが幸福感に浸った。見知らぬ人たちと写真を撮り合ったり、会話をしたりで時間を過ごした。
5

前日、行者小屋の方に聞き、中岳沢が安定しているようだったので最短ルートを下降した。頂上の少し下から中岳沢のコルまでが本日の核心部でバックステップで今日一の集中力を発揮した。コルからは光の速度で行者小屋に到着。テントを撤収して帰路に就いた。

<小林功所感>
前回の赤岳主稜から2週間、今回はよく一緒に行く仲間だけで、雪稜登攀が入った山行になった。 赤岳主稜で少し自信がついてはいたが、やはり不安と緊張が強く、前日には取付きまで念入りに偵察を行った。当日の天候は今までにないくらいの晴天、無風、渋滞も無く最高のコンディションとなった。第二岩峰、ナイフリッジの通過も想像していたより難しくなく楽しめた。 山頂からは360度の展望、そして雪稜と岩稜が見えた。少しづつ実力をつけ今日見た雪稜、岩稜にトライするぞと誓った。

<保岡所感>
第二岩峰は風で雪が飛ばされてるところが多く、二番目にプルージックで登る場合はピッケルを背中に刺して両手で登攀した方が安全だと思いました。下山時は(鈴木)百合子さんからの前夜のアドバイスメール「北陵側に少し戻って中岳沢のコルに下山する事」のおかげで迷わずルートを取れました。今週は新雪があまり積もらず気温が下がった事も幸いして雪質が安定しており、歩きやすかったです。

<田中所感>
グリップホールド、ピッケルでのセルフビレイ、肩がらみなど状況に応じてやり方を変え、スピーディに登攀できたことは、富士山の雪訓、百合子さんとの真教寺尾根で教わったことばかり。訓練が役立ち、迅速に行動できたことがうれしかった。教えてくださった先輩の皆様に大感謝。

<行程>
3/4 美濃戸口12:00~美濃戸山荘13:10-13:30~南沢~行者小屋15:40(幕営)
3/5 行者小屋6:20~北稜末端取付き6:40ジャンクションピーク7:10~第二岩峰取付7:40~阿弥陀岳山頂9:00-9:40~中岳コル10:20~行者小屋10:40-11:30~美濃戸口13:20

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>