赤岳西壁南峰リッジ左稜

  • 期間 2012-12-23~2012-12-24
  • メンバー 木村広(27期/L)、二見(27期)、小林英(25期)
  • 記録 木村広
 今回、我々は3連休の2日間を使って赤岳南峰リッジの左稜ルートに行って来ました。このルートは、書籍にはあまり記載が無く、詳細は不明ですが、冬期バリエーション初級ルートとして、しばしば登られているようです。雪山シーズンを始めるには、お手頃かと思って行って来ました。ちなみにパーティーメンバーの小林さんは、12月22日から現地入りしていて、23日に阿弥陀岳北稜を登った後に、我々のパーティーに合流しました。

■12/23(日)
 小淵沢駅に集合し、マイカーで美濃戸山荘駐車場へ。駐車場到着後、すぐに身支度を整えて行者小屋へ向かう。堰堤を越えて森の中に入っていくと、いつもの様にシジュウカラの鳴き声が私たちを迎えてくれる。空は青く、風は穏やかだ。気温は標高を上げるにつれて下がっていく。今年は12月上旬において、既に1月並みの気温となった由、美濃戸口の氷瀑は発達していて、積雪も多い。天気予報では、明朝の赤岳山頂は-19℃、曇り時々雪とのことで、白銀の登山道を楽しみながら、今日の貴重な天気の名残を惜しむ。

■12/24(月)
 4:00起床。星空に流れ星を見る。昨晩より降り出した雪は10cmほど積もり、例年稀にみる雪山らしい八ヶ岳となっている。天気予報は、良い方面に外れたようだ。気温は-19℃ほどで、これは天気予報どおり。準備を整えて、予定より30分ほど遅れて出発する。


04 阿弥陀岳(文三郎道から)
阿弥陀岳(文三郎道から)  南峰リッジ取り付きへの行き方は次の通り。文三郎道を赤岳沢に沿って登っていき、赤岳南峰の西面をトラバースする場所まで来て、そこからトラバースしないで山頂へ直登していく。 05 南峰リッジ(文三郎道から)
文三郎道から南峰リッジを望む  南峰リッジ左稜ルートは、主稜の右ルンゼ左岸の位置付けとなる。コースを外さないように、右ルンゼを意識しながら、南峰リッジルンゼルートの易しい部分を所々使って進んでいく。雪壁にブーツを蹴り込んでステップを付ける動作で呼吸が荒くなる。時々、昨日以前につけられた足跡を見付けるが、降雪があったために、ほとんど役に立たない。途中、ルンゼルートから左稜ルートに戻る部分でルート取りに迷う。ここが今回の核心部となり、ホールドは乏しく、ピッケルはろくに刺さらず、所々崩れる岩場を微妙なバランス感覚で乗り越える。核心部を越えると、後は軽快な雪壁となり、山頂にダイレクトに突き上げた。 【行程】 12/23 小淵沢駅(11:20)=駐車場(12:10/12:30)~行者小屋(15:30) 12/24 行者小屋(6:00)~赤岳山頂(9:05/9:30)~行者小屋(10:50/11:50)~駐車場(14:00) 【木村所感】  今回は天候に恵まれて、とても楽しい登山となりました。左稜ルートについては、主稜よりも困難に感じましたが、岩登りの要素があまり無いので、装備が少なくて身軽で、初級者に良いルートだと思います。ただし、フロントポインティングを多用するので、ふくらはぎへの負担は大きいです。また、パーティーによっては、アンザイレンしてスタカットで登るようですが、残置支点は無かったので、確保は工夫して行う必要がありそうです。補助用として30mロープを持参しましたが、最後まで使用しませんでした。今から思うと核心部で使用すべきだったと思います。 【二見所感】  南峰のトポは日本登山大系8の簡易なものしかなく(見ていなかった)、後はインターネットの記録で情報をインプット。文三郎道からの取付きは遭難碑~(下山時に他のパーテーが取り付いていた。)リードは全て広ちゃんで楽をさせてもらいました。ルートファインデイングは沢登りと同様、トレースがない時 一歩一歩切り開いていくしかないようだ。雪訓後の初山行、マイナス20℃の世界は赤岳山頂からのパノラマは見られなかったが充分雪山を楽しませてくれた。(オーバー手袋をしての身支度に時間のかかること、目出帽の上にヘルメットの装着、厚着をした腰にハーネスの取り付けの大変さ等、下界でのシミュレーションの必要性をあらためて感じた(^O^)、素手に依る凍傷要注意) 【小林所感】  ルートに迷った箇所で独り、「こっちからも行けるか?」と少し上がってみたがピックを引っ掛けるところもない。諦めて下りるその3~4歩が恐怖でした。アイゼンの前爪が岩から外れたら・・・! ■補足事項 南峰リッジ取り付きについて・・・下山時に、南峰リッジに伸びる岩稜に、文三郎道の慰霊碑がある地点から取り付いているパーティーを見ました。トラバース地点よりもずっと下方です。参考まで。 ■補足資料:前日撮影の南峰リッジ(小林さん提供) O

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