今回、我々は3連休の2日間を使って天狗尾根に行って来ました。このルートは、書籍によればバリエーションの初級ルートとして、年間通して人気があるとのことです。当初、14~15日の日程で予定していましたが、天候を見て、1日延期することにしました。
7/15(日)
長坂駅に集合し、マイカーで現地駐車場へ。
(美し森駐車場)
霧のため、八ヶ岳の姿は見えない。翌日の好天を期待しつつ出合小屋へ向う。美し森駐車場の売店は、出合小屋に向かう林道に面しており、出合小屋へは、この林道をゲートを越えて西へ向かい、林道終点から沢に入って遡行していくと辿り着く。途中、数回渡渉するが、濡れることはない。
(出合小屋)
出合小屋に着いて、高度計を確認すると1840mを示している。小屋には先客が1名いたが、内部は広いので、テント泊をやめて、小屋に泊まることにする。
日没まで時間に余裕があったので、天狗尾根の取付き点まで偵察に出かけることにする。天狗尾根の取付き点は、赤岳沢の右岸にある。赤岳沢の出合には標識があり、小屋から数分で着く。取付き点への道のりは次の通り。赤岳沢に入って左岸に僅かな水流のある谷を見て、さらに遡行して、右岸と左岸に水流のない谷をみる。この右岸の谷が取付き点となる。赤テープが幾つかあって目印となるが、谷の形状が浅く、さらに藪に隠されて見つけにくい。この取付き点は、あまり状態が良くないので、さらに20~30mほど遡行した場所から尾根に取付くと良いようだ。標高にして1900mほどであろうか。ここで高度計を確認するのを忘れてしまった。
7/16(月)
4:00起床。天気は曇り。天狗尾根は雲の中。天気予報では、晴れ夕方雷雨とのこと。予定より15分ほど早く出発する。天狗尾根取付きから尾根上に出るまでは、笹薮を分けながらの急登となる。尾根上に出てから岩峰が見える場所までは、静かな尾根歩きとなる。色々な野鳥の囀りに耳を澄ますと、重い荷物を忘れてしまい、高度は順調に上がっていく。
(カニのはさみ)
カニのハサミが見えてきて、岩峰が樹林帯を分断する場所まで来て、いよいよ登攀装備を整える。この時、標高2455m。霧となって山を覆っている雲は次第に薄れて、岩峰が姿を現してくる。
(30m岩壁 トラバース地点FIXロープ残骸)
(トラバース地点への踏み跡)
強風を受けながら、軽い岩登りの後、問題となる30m岩壁に着く。ここは、右にトラバースした後、凹状の草付きを登る。ロープの残骸が木に巻きつけてあり、その木を始点として木村がリード。40mほどロープを伸ばした地点で立ち木を支点にしてセカンドをビレイ。登攀後、ロープをザックに入れて、いよいよフィナーレの大天狗へと向かう。
(天狗尾根を振り返って見る)
(左から大天狗、小天狗、赤岳)
(権現岳)
大天狗は基部を右に回りこんだ所に立木があり、これを始点にして木村がリード。残置ハーケンと残置スリングあり。スリングが残置してある右側のルートは、上部の岩が崩壊していて、近寄り難いものを感じたので、立ち木から、ほぼ真上に登ったあと、右へトラバースした。このルートにも残置ハーケンが1本あったが、始点から距離があったので、手前で軟鉄ハーケンを打ち込んだ。終了点には、ケミカルアンカーが打ち込んである。ちなみに打ち込んだハーケンは二見回収。
(チョウノスケソウ)
(シャクナゲ)
無事に天狗尾根を越えて、一般登山道へ辿り着く。青空の下、新緑の峰々が私たちを迎えてくれる。この季節の山の美しさが、疲れを忘れさせてくれる。荷物を真教寺尾根の分岐点に置き、赤岳山頂へ向かう。
(赤岳)
(赤岳山頂 記念撮影)
(諏訪湖)
(南アルプス)
山頂で展望を堪能した後、下山を開始する。長い長い真教寺尾根を下って、駐車場へ到着。無事下山となった。
[行程]
1日目 長坂駅(11:00)=駐車場(11:20/11:40)~出合小屋(14:00)
2日目 出合小屋(5:45)~天狗尾根取付き点(6:00)~カニのハサミ(8:40)~30m岩壁(9:00)~大天狗(10:25)~一般登山道(11:40)~赤岳(12:20)~真教寺尾根~扇山(14:30)~牛首山(14:50)~駐車場(17:00)
[木村所感]
今回は、これまでの山行の中で、もっとも危険を感じた山行でした。30m岩壁の凹状の草付きに出るまでのトラバースは、わずか数メートルの距離ですが、危険で自分にはとても無理だと感じました。確かなことは分かりませんが、恐らくルート取りに失敗したのだと思います。ここは、クライミングシューズを持参して、岩壁を直登したほうが比較的に安全かも分かりません。また、大天狗の登攀は、ホールドになりそうな岩は、ほとんど浮いており、残置ハーケンも信頼性に乏しく、登山靴が濡れていたこともあって、困難で危険を感じました。ここも無理せずクライミングシューズを使用したほうが良いかもしれません。これで初級ルートだと思うと、他のルートへ行く気が起きません。
もしまた天狗尾根を訪れる機会があるとしたら、出合小屋に荷物をデポして、身軽になって、ツルネ東稜を下るコースで行きたいと思います。
ちなみに、天狗尾根には冬期にテント場に向いてそうな箇所が2ヶ所ありました。標高2240m地点と標高2350m地点です。
また、今回は出発予定の前日に、日程を1日延期することを決めましたが、その甲斐あって好天に恵まれました。17日に梅雨明けしたようですが、16日にはすでに梅雨明けしたのではないかと思うほどの青空と暑さでした。
最後に装備についてですが、軟鉄のハーケンを数本持っていくと心強いかと思います。また、ロープについてはシングル50m×1本を持参しましたが、今回のルートと同様のルートを取るのであれば、ロープの長さは30mあれば足りるかもしれません。懸垂下降するならロープは2本あったほうが心強いかもしれません。
[二見所感]
1回目(2009.9.26-27本科/基本ステップ:出会小屋前でキノコ料理)
2回目(2010.2.11-14厳冬期自主4名:軽度の手指凍傷)
今回3回目 7月の自主山行。冬期リベンジの思惑?
軽量化でシュラフを省き、シュラフカバーとシーツは幾分寒く何度か目をさました。
雪山を思うと食もあり夏山の良さを満喫。
出会小屋で本沢の単独行者(水量が多く途中で撤退)と
高速道路が渋滞していて夜9時過ぎに小屋の付いた赤岳沢遡行の二人パーティー(権現岳~赤岳への稜線に出て間もなく沢をつめて二人を発見)との出会い。
そして森林浴(可憐な満開の高山植物、数種の小鳥の絶えない囀り)と連休の山を楽しんだ。