◆実施内容
Ⅰ.トップロープでの確保及び登攀・下降
1.確保
(1)セルフビレイのセット
・末端から適切な長さを取って、ロープを支点のカラビナにクローブ・ヒッチで固定する。
・末端はエイト・ノットでハーネスに連結する(今回は時間節約のため、ラビット・ノットをビレイループにセットした環付きカラビナにチョイ掛けした)。
(2)エイト環を用いた確保
・エイト環の大きい輪を掛けた環付きカラビナを、ビレイループに掛ける。
・ロープをエイト環の大きい輪にくぐらせて、小さい輪との境のクビレに掛ける。
・エイト環の大きい輪を環付きカラビナから外し、ロープに捻れが生じないように注意してエイト環の向きを変え、小さい輪を環付きカラビナに掛ける。
(3)ルベルソを用いた確保
・ルベルソを掛けた環付きカラビナを、ビレイループに掛ける。
・ロープ(1本)を、ルベルソの穴(カラビナの背の側)に通し、ゲートを開けて環付きカラビナに掛ける。
・手繰ったロープを両手で整理する動作は、エイト環の場合のように腰の位置ではなく、腹の前の位置で行う。
ただしルベルソに指を巻き込まれないよう、ルベルソから適度に距離を保つ。
2.登攀・下降
(1)登攀 → ビレイヤーにテンションをかけてもらってロアーダウン
(2)登攀 → 隣に設置した別のロープで懸垂下降(ルベルソを使用)
<登攀後のロープの処理>
・セルフビレイをセットする。
・ビレイヤーにビレイ解除を指示する。
・ロープを、ロープの中央まで振り分けながら手繰りあげる。
・ビレイヤー等、下方のメンバーに声をかけてロープダウン。ロープを落としたい場所の垂直上方の空間を目標に放るとよい。
<懸垂下降>
・セルフビレイをセットする。
・ルベルソを掛けた環付きカラビナを、ビレイループに掛ける。
・ロープ(2本)をルベルソの穴に通し、ゲートを開けて環付きカラビナに掛ける。
・後方のロープを右手で腰の後ろの位置で持ち、下降速度を制御する。前方のロープを持つ左手には力を入れず、バランスを保つ役割を持たせる。
Ⅱ.バックアップ懸垂下降の練習
1.地上で手順を学習
2.実践
(1)ロープの末端どうしを結ぶ
(2)セルフビレイのセット
・セルフビレイ・スリングの先端に付けた環付カラビナを支点に連結する。
・荷重し、セルフビレイが機能しているかを確認する。
・この間、作業しやすいようにロープを少し手繰り、ロープが落ちていかないように軽く足で押さえる。
(3)マッシャーのセット
・ロープに巻きつけたスリングの両端を、ビレイループに掛けた環付カラビナに通す。
・下降器をセットできるだけの長さのロープをマッシャーの前方に残しておく。
(4)下降器(エイト環)のセット
・エイト環の大きい輪を掛けた環付きカラビナを、セルフビレイ・スリングの適切な位置のループに掛ける(エイト環をマッシャーの前方のロープにセットできるくらいの位置)。
・ロープをエイト環の大きい輪にくぐらせて、小さい輪との境のクビレに掛ける。
・エイト環の大きい輪を環付きカラビナから外し、ロープに捻じれが生じないように注意してエイト環の向きを変え、小さい輪を環付きカラビナに掛ける。
(5)下降準備
・エイト環とマッシャーを支点に近づけて、支点とエイト環・マッシャーとの距離がセルフビレイ・スリングよりも短くなるようにする。
・荷重し、マッシャーによる固定の効きを確認する。
・最終確認する。(①支点、②マッシャー・下降器、③フォールライン)
・セルフビレイを解除する。環付カラビナを支点から外し、エイト環に連結した環付きカラビナや、エイト環の前方のロープの1本に掛ける。
(6)下降
・右手で後方のロープを、腰の後ろの位置で持つ。左手でマッシャーを制御する。
◆所感
ロープワークは、習得すべき技術や知識が多岐にわたり、またシステムが複雑であるため、これまでの基本ステップでの学習内容が自分の中に定着していないと感じていた。今回はこうした不安が随分解消され、腹に落ちたと実感できた。トレーニングを重ねれば理解が進むのだろうが、私のトレーニングは回数も頻度も多くない。受講者のレベルを踏まえて必要かつ十分な内容を簡潔に説明する、講師の指導スタイルが効果的だったのだと思う。一歩前進したと実感できるのは嬉しいことであり、次の一歩に向けたトレーニングへの動機づけになる。
田口さんと船戸さんが集合時間よりずっと早くに現地に入って場所取りをしてくださったが、既に他のパーティが到着していたとのこと。日和田山での訓練に難点があるとすれば、場所取りの難しさだ。岩の魅力のほか、市街地からの電車の利便性、駅からのアクセスの良さも、人気の理由であろう。
男岩の上で懸垂下降の順番を待っている間、別のパーティの方と少し言葉を交わした。3週間前に日和田山で死亡事故があったとのことである。事故に遭われた方は、1人でトレーニングに来ていたらしい。我々も上達や慣れによる気持ちの緩みを敵とし、安全意識を常に持つよう、自戒したい。
天気が崩れるとの予報で、実際、午後に入ると雨粒を肌で感じるようになった。それでも、各自がある程度の回数を練習できるまで天気がもったのは幸運であった。
たいへん写実的な描写で研修の状況がよくわかり、参考になりました。