◆講習内容
1.雪洞の作成
・スコップで出入口を掘る。(タテ約1m×ヨコ約0.7m)
・奥行が約1m弱になったところで、左右および上方へ掘り広げはじめる。
・奥に進むほど雪が凝固してスコップでは歯が立たなくなるため、スノーソーを用いて雪をできるだけ大きめのブロックにして切り出す。
・スノーソーの刃は、タテ方向は左右斜め前方に入れ、ヨコ方向は水平に入れる。これにより、切断面がダイヤ形の四角柱のブロックとなる。
・ブロックは雪洞の外の左右に積み上げ、出口通路の両壁の建設に活用する。
・奥に頭、出入口に足を向けて4名が並んで寝られる程度の空間を完成する。
・天井をドーム型にし、ドームの外縁がなだらかに壁面に連なるようにする。
・コッヘルで雪面の凹凸を削り、天井と壁面を滑らかにする。
・壁をくり抜いて棚を作り、ロウソクを灯す。照明のほか、酸欠のアラームとしても機能する。
・出入口の扉は、ツェルト、ピッケル、カラビナ、スリングを用いて作る。
・床には銀マットを敷く。その上にエアーマットを敷いて坐臥する。
2.雪崩地形を知る
・ルートを歩くなかで左右の山肌に見出せる雪崩が生じやすい地形を指し示し、都度、解説。雪崩地形や雪崩の発生の原因、契機は一様ではない。
・雪崩だけでなく、積雪がブロックになって転がり落ちてくる危険もあるので、注意が必要である。
・これらの危険が想定される場所を通過する際は、危険発生時のパーティ全体への被害を最小化する(最悪でも1名に止める)ため、メンバーは雪崩の規模を想定した分の間隔をあけて歩く。上部の発生区が大きければ、その分、間隔をより大きくあけて歩く。
3.その他
・尾根を歩く際、気づかずに雪庇の上を歩いている可能性がある。雪庇上ではないと確信する根拠が見いだせない場合は、雪の稜線から数m(場合によっては10m以上)下方にルートをとり、リスクを軽減する。
・例えば雪の稜線近くに樹木が見えれば、まず雪庇ではないと判断してよい。しかし、疑いは常に持たなければならない。
・下降する際は、雪崩に巻き込まれるリスクを軽減するため、適度な密度で樹木が生えている斜面にルートをとるのが望ましい。
・ただし、樹木の幹の周囲は積雪が空洞になっている場合が多い。踏み抜いて足を取られないよう、歩く際は樹木に近接しない。
・雪洞に荷物をデポして行く場合、積雪により雪洞の場所が分からなくなる危険がある。先端に目立つ色の布を付けたプローブを雪洞の近くに標識として立てていく。
◆行動記録
・3/28(土)
8:25 JR線水上駅改札前で集合→(鈴木さんの車で宝川温泉へ)→9:30宝川温泉を出発→10:20宝川沿い林道の途中で休憩→10:50林道途中のトンネルを通過→11:25初沢出合に到着・休憩・ワカン装着→11:45林道を離れて初沢右岸の樹林帯を歩く→板幽沢左岸尾根を歩く→13:35雪洞作成地を決定(標高約1,080m)→16:40雪洞および雪隠が完成。
食事担当は鈴木広太郎さん。野菜・お肉たっぷりの鍋煮込みをポン酢で食す。美味なり。締めは塩ラーメン。松本さんがラジオでニュースやNHKラジオ深夜便を受信。懐メロも数曲、再生。
・3/29(日)
3:00起床・朝食(お茶漬け)→5:20一部の荷物をデポして雪洞を出発→6:50板幽沢左岸尾根から雨ヶ立岳に向かう尾根に上がったところで休憩(標高約1,380m)→8:40雨ヶ立岳ピークに到着(標高1,626.7m)→9:00同じルートを下降しはじめたところで休憩(標高約1,530m)→9:50板幽沢左岸尾根へ降りる前に休憩(標高約1,400m)→10:35雪洞に到着→11:00荷造り完了→(雪洞および雪隠を埋め戻す)→11:15雪洞を出発→11:50宝川出合で林道に下りる前に休憩→12:25林道途中のトンネルを通過→13:00林道の途中で休憩→13:30宝川温泉に到着→(鈴木さんの車で水上駅へ)→水上駅前のそば屋「くぼ田」で反省会を実施後、解散。
雨ヶ立岳ピーク