【行程】
5月2日 車止6:40 飛越トンネル7:10 寺地山11:00 北ノ俣岳肩14:00 太郎平小屋15:00
5月3日 太郎平小屋7:30 薬師岳11:05~11:30 太郎平小屋14:05
5月4日 太郎平小屋6:00 北ノ俣岳7:50 寺地山10:05 飛越トンネル13:00 車止13:15
【報告本文】
好天に恵まれ薬師岳に登頂することが出来た。思っていた以上にスキー山行向きの山であり、登りも滑りも楽しめた。
5月2日 晴れ
体調に少々不安のある私と同行者とで検討し、欲張らない計画としたが、今日は太郎平小屋までは入らなければならない。現在の我々にとっては少々長い行程である。今年は、飛越トンネル登山口まで車が入らないようだ。残雪と倒木が車止めになっている。ここからスタート。スキーをザックに付け20分ほどで飛越トンネル登山口に到着。届けをポストに投函し、残雪の夏道に沿って登る。支尾根上に出てわずかに登ると雪は途切れなくなったので、シール歩行に切換える。当初スキーアイゼンを付けていったが、歩幅が伸ばせないため、スキーアイゼンははずした。このようなアップダウンのある長い尾根をスキーで効率よく登るのはなかなか難しい。
時間はかかりながらも、寺地山に到着。ここからは北アルプス主稜線へ続く大斜面が広がる。あとはあれを登りきれば良いのだ。寺地山からはいったん下りになるが、付け外しが面倒なためシールのままで下ったが、細い尾根であるため、シールは外して滑ったほうが安全快適であろうと思う。コルからいよいよ北ノ俣岳に続く大斜面の登りである。今回は同行者にペースを作ってもらい私は後に続く。長い行程をずっとスキー歩行すると、足の動きが変らないため、慣れた装備でもどこかしらあたり出す。ポジションを変えながら来たが、ラストの登りはスキーを脱いでつぼ足にしてみたら快適だった。今日のような行程なら、初めのアップダウンのあるところはつぼ足のほうが効率は良さそうだ。
大斜面を登り終えて北ア主稜線(北ノ俣岳の肩)に登りつく。ここでシールを外して太郎平小屋にむけ滑走する。比較的滑りやすい雪質で、最後は太郎山を巻き気味に越えて太郎平小屋に到着した。ここは山スキー屋が多いようだ。
5月3日 晴れ
今日は太郎平小屋から薬師岳を往復するだけだ。天気は良いし、行程は短い。気持ちはラクである。春の北アルプスでの一日をのんびり味わおうと思う。小屋を出発して薬師峠への短い滑りのあと、峠でシール+スキーアイゼンとした。スキーの轍がかなりあり、スキーアイゼンがひしゃげるかと思うような固いところもある。ゆっくり登り、広い薬師平へ。無雪期よりだいぶ見通しが良いように思える。おおむね夏道に沿って登ったが、尾根は広く傾斜もそれほど急ではないので安心して登ることが出来る。
小屋付近から見えていた、薬師、水晶、祖父、雲ノ平、三俣蓮華、黒部五郎、北ノ俣、に加えて、登るに従いさらに槍穂高、鷲羽、笠など北アルプスのそうそうたる山々が居並ぶ。山スキー屋として幸せこの上ない。上部ではさすがに風が出たし、稜線も狭まったので避難小屋の位置でアイゼンとピッケルに切換えた。私はスキーは担ぎ、同行者はここでスキーはデポ。アイゼンでゆっくりと登り、薬師岳の山頂に到着。
風をよけて休憩の後、同行者はアイゼンで先に下り、私はスキーを付けていよいよ滑降だ。登りで見た限りでは稜線も雪付きは良いし山頂直下も西側を滑れば問題なさそうに思えた。
山頂から稜線中央を雪の感触を確かめるようにゆっくりと滑り出し、西側のトラバースに入った。ところが西側斜面は日当たりがまだ充分ではないためだろう、雪が固く、スキーのエッジで感じるグリップ感が心もとない。登りのときにもう少し慎重に雪質を見極めるべきだったとチラと思う。いつものリラックスした滑りでなくなってしまった。ここはしかし落ち着いて慎重に通過するしかない。無理な力をかけないように慎重に滑り、避難小屋の下で回り込んで尾根の正面に戻った。尾根の正面は雪がちょうど良い感じにゆるんでいて何の心配もない状態だった。デポ地点で装備を替えて滑り降りてきた同行者と合流。薬師峠までの滑りを楽しみ、峠で大休止して、太郎平小屋に戻った。
5月4日 曇りのち晴れ
小屋では風の音がしていたが、外に出てみると心配したほどではない。雲があって山頂部は隠れ気味だが行動にはさしつかえない状態である。太郎山を越え、北ノ俣岳へ登る。往路では北ノ俣岳の山頂は割愛したので、今日は踏んでいきましょう。非常に広いが登りは迷うことはない。傾斜もゆるいのでシールでのんびりと歩いてゆけばよい。この山域は思っていた以上にスキー向きである。視界不良時にはかなり難しくなるだろうが、今回は恵まれた。
北ノ俣岳の山頂に到着。ここでシールを外し滑りモードに。稜線を少し戻りぎみに滑り、西側の大斜面に滑り込む。初めは左にトラバース気味に滑り、尾根の正面に戻る感じだ。ここは登ってきたときよりも傾斜があるように感じたが、雪は程よくゆるんでいて、快適に滑れる。寺地山を目標に広い斜面を滑る。滑りやすい雪だったので小回りで滑っていたが、斜面が広いのでもったいなく感じ、途中から大きい滑りにかえた。充分堪能して最初のコルに到着。さらに下り気味のアップダウンで最低鞍部へ。ここからはスキーを担ぎ寺地山に登る。
寺地山から以降の下りは、トレースをたどり、何箇所かは登りもあるものの、小さなこぶは巻き、樹林の尾根の快適なスキー行だった。条件の良いときのスキーの快適さ、適用範囲の広さを再認識した。最後は夏道と別れてトンネルの南側を滑って降りようと考えていたが下り口がわからず、登りと同じく夏道を降りて飛越トンネル登山口に帰着した。
1.北ノ俣岳への登り