大勢の賑わいの中、各人が丹沢には似つかわしくない大きなザックにダンボール箱を押し込んでいる。
無名山塾恒例の初冬のボッカである。天気は快晴。
男性30kg以上、女性25kg以上の荷をかつぐ。
準備ができた人から順に大倉バス停の向かいの駐車場をスタート。
それぞれのペースで大倉尾根を登り、塔ノ岳山頂の尊仏山荘まで荷上げする。
全荷物の総重量は約700kg。
■出発風景
重たい荷物が肩に食い込む。
天気が良いせいもあって大量の汗をかく。
が、水は背中の荷物の上。
水を飲むために、荷を一旦肩からおろさなければならないが
重たい荷は、地面におろすと一人では再び担げない。
ようやく見つけたテーブルに荷をおろす。
ひと時の幸せ。
ふたたび荷をかつぐと前よりもさらに重く感じる。
堀山の家を過ぎると階段と悪路の急坂が続く。
足がつりそう。
他の登山者の方から挨拶されても低いうなり声しか出ない。
道を譲ってもらってもお礼が言えない。
まったく無愛想な登山者になってしまった。
すでに山頂に荷を降ろして下山を始めたメンバーから『もうすぐだよ!』励まされながら
(そのもうすぐが長い。。。) ようやく山頂に到着。
大きな富士山が出迎えてくれた。
登りはじめてから5時間30分もかかってしまった。
■塔ノ岳山頂から望む
荷物から開放されて、下山はふわふわと体が浮く不思議な感覚になる。
堀山の家でおでんをご馳走になり
大倉では駐車場管理のご夫婦に豚汁とお菓子をご馳走になり
打ち上げ前にすでに腹いっぱい状態。
おいしかった。
全員下山するころには日も暮れた。
撤収後、渋沢で打ち上げとなる。
みなさまお疲れ様でした。
■みんなの下山を待つ
ボッカ(歩荷):
山間部などの車が入れない場所に、人が荷物を背負って運搬すること。
無名山塾では、『雪山に対する志』(松本講師談)としてボッカ訓練を毎年実施している。