■2/11(土)
特急とバスを乗り継ぎ、美濃戸口へ。普通の週末の割にはとても人が多い。駐車場もほぼ満車。晴れ。10:25出発、13:55赤岳鉱泉着。夜、オリオン座がとてもきれいだった。
快晴のテント場から大同心、小同心
■2/12(日)
4:30起床。昨晩の星空からうって変わって、小雪がちらついている。明るくなるのを少し待って 6:30出発。行者小屋へ10分ほど進んだところにある橋からルンゼに入る(進行方向左側)。踏み跡はしっかりあるため、ルートは明瞭。最初に小同心ルンゼとの出合にぶつかり、右又方向へ。次に三叉峰ルンゼと鉾岳ルンゼとの出合を右又(鉾岳ルンゼ方面)に進み、7:30 取付き少し下に到着。進行方向左側の石尊稜に取り付く。ノーザイルで少し斜上し、トラバース気味に尾根を登り、取付きに到着(ハンガーボルト2つ。残置スリングあり)。3人パーティーが準備をしている。3人×2パーティーに先に行ってもらい、8:45 登攀開始。天候は相変わらず芳しくない。
下部岩壁取り付き(前パーティ)
○1ピッチ(浦野リード)
右手にバイル、左手にピッケルを持って登攀。最初からかなり嫌らしい。中間支点をとれず(ピナクル or 灌木もなし)、かなり進んだところでやっとハンガーボルト+残置スリング(青)が見つかり、ランナーを取って一息つく。息を整えて進み、灌木でビレーを取ってピッチを切る。先行パーティーのフォローが既に登り始めていた。
○2ピッチ(松井リード)
傾斜は急なものの潅木が所々にあり支点をとれるので1ピッチよりは楽に登っていったが、ロープの流れが悪いことに気づき慎重に数歩戻り、掛け直す。
○3ピッチ(浦野リード)
3ピッチ目終了点(浦野)
○4ピッチ(松井リード)
○5ピッチ(浦野リード) このピッチはすぐに終了し、下部岩壁が終了。10時30頃。
この頃には、天候もよくなり、雲一つないスカイブルーの空と真っ白な雪に身をまった嶺嶺のコントラスト。そして空中にダイヤモンドダストがキラキラと輝き、言葉にならないほどきれいだ。
上部岩壁への雪稜を行く前パーティ
ここからは雪稜になるので、コンテで進む。一歩一歩確実に進み、上部岩壁に到着する。ここには残置ハーケンが2本あり、セルフビレーを取ってスタカットで登攀再開。我々の先を行っていた男女2人組が譲ってくれたので先行する。
○上部1ピッチ(浦野リード)
このピッチが一番の核心だった(ように感じられた)。非常に厳しかった。岩、草つき、雪、氷のミックスなのだが、岩のほとんどが雪&氷に覆われている(部分的に岩肌が露出している)ため、どこが草つきなのか岩なのかわからない。バイルをふりかざすも雪に覆われた岩にあたるのみでまったく効かない。当然、ガバ等といったハンドホールドは皆無。別の場所に再度振りかざすも、ガンと鈍い感触のみでまた駄目。そうこうしているうちに、アイゼンの前爪を効かして踏ん張っている足(特にふくらはぎ)が限界に近づいてくる。もう一度バイルをかざすと何とか効いたので、それを頼りに慎重に足を動かす。リードなので絶対に落ちることはできない。自ら動かない限り現状を打破できないため前に進むしかない。クライミングというよりも、バイルとアイゼン前爪を頼りに強引によじ登る、という感じであった。
上部岩壁1ピッチ凹角を抜ける(浦野)
全てこんな感じで非常に息があがる。途中の安定したところで息を整え同じように登攀する。中間支点はピナクルと灌木で取ったのみ。やっと核心を越え、ルンゼ状のところをキックステップで登り、ピッチを切った時には心底ほっとした(落ちずによかった!)。ピナクルでビレーを取って(少しでも効くように、みっちりついた氷をカッティング)、ビレー解除をコール、ザイルアップをしようとしても両手がつりそうになりスムーズにいかない。しばし息を整えてザイルアップし、ビレー態勢を整えて松井さんを引き上げる。
2ピッチ終了点から雪稜を振り返る
○2ピッチ目(松井リード)
傾斜はそれ程でもないが中間支点を取れず、慎重に進む。大きな岩に240cmスリングをまわしかけて支点とし引き上げる。
最終ピッチ
○3ピッチ目 コンテでも進めるようなルート。
13:55、終了点に到着。杣添隊の小林さんの携帯に電話し、登攀終了を伝える。杣添隊は既に美濃戸口バス停に向かい林道を歩いているようだった。ザイルを解き、テルモスのお湯を飲んだり、行動食を食べしばし休憩。
登攀終了
地蔵尾根を経由して赤岳鉱泉テン場に16:00着。テントを撤収し 17:00出発。19:04 美濃戸口バス停着。予約していたタクシーで茅野駅へ。20:31発の最終のあずさで帰京。
<装備等>
ダブルロープ(9mm×50m)・・・1本
確保器・・・浦野:エイト環、松井:ATCガイド
アルパインヌンチャク・・・各自3本
共用バイル・・・1本。トップのみダブルで登攀したが、セカンドもダブルの方が楽に登れそう。
その他、環付ビナ、ビナ、スリング等
<浦野服装>
インナー(メリノウール)、薄手シャツ(ブレスサーモ)、厚手シャツ、防寒着(羽毛)、オーバーヤッケ。
普段、行動中に防寒着(羽毛)は着ないが、待ち時間の寒さ対策として着用。多少ゴワゴワするが、行動の妨げにはならず、体感は多少寒いと感じる程度。目出し帽は当然として、今回は更にネックウォーマーを着用した(なかなかGOOD)。