仙ノ倉北尾根

  • 期間 2012-03-03~2012-03-04
  • メンバー L松井(26期)、SL浦野(27期)、飯干(26期)、二見 守(27期)、小林(英)(26期)
  • 記録 松井

●3(土) 
東京発6:16の新幹線に乗車。7時半、越後湯沢の改札口に集合するが、駅はスキー客でごった返している。
予約したタクシーで毛渡橋へ。除雪ができていない為、車はここまでしか入れない。約20分(¥3280)。

写真①毛渡橋 この先は通行止

小雪が舞っているがそれ程寒くはない。装備を調え8:15出発。
関越自動車道と上越線の下をくぐり、タカマタギ方面への林道を途中から毛渡沢方向へ入る。
雪は深いが新しいトレースがあるのでワカンは付けずに進む。
1時間程歩くと駐車場入口の小屋があり、屋根の上には2mくらいの雪が載っていた。

②駐車場入口の小屋

10時過ぎ、目標としていた吊橋に着いたと思い、不安定な吊橋を懸命に渡る。

③吊橋を渡る

11:00 
北尾根に取り付き、交代でラッセルすること1時間余…が、どうもおかしい。
真南へ向かう筈が東へ東へと向かっている。
英也さんがGPSを取り出し確認するとやはり完全に間違えていることが判明、取り付き地点に引き返す。
現在地はどこなのか?改めて地図を確認し、まだバッキガ平には到達していないらしいとの結論に達する。
毛渡沢左岸に戻るしかないが、もう一度吊橋を渡るのは嫌なので、渡渉できる場所を探す。靴を濡らすことにためらいがあったが、先頭を行く英也さんに続いて思い切って沢に入る。
沢沿いのトレースに従ってしばらく進み、群大ヒュッテの建物に出ると、その前には立派な橋がかかっていた。

写真④バッキガ平の橋

予定では今日は1400m近くまで上がり、明日仙ノ倉から平標山に抜ける計画だったが、もう13時を過ぎている。
体は疲れ気分も落ち込んでいるが、計画を北尾根ピストンに変更、とりあえず小屋場ノ頭を目指し尾根に取り付く(800m)。

写真⑤北尾根取り付き

腰までの積雪だがトレースがあり1時間余りで1180mの小屋場ノ頭に出、テント2張りを設営する。
アルコールで疲れを癒しながら地図を拡げ、どうやら我々は735m地点の吊橋を渡り、万太郎尾根の北ケドノ頭に至る尾根を上がったらしいということがわかる。まったくナニをやっているんだか…
しかし明日は好天との予報。
夕食の二見さんの豚汁がとても美味しくて元気も回復、気持ちを切り替える。
20時過ぎ就寝。

●4(日)
4:30 起床。
各自で食事を済ませ、浦野さんのテントに荷物をデポ。
5:45 
アイゼンをつけて出発。英也さんのテントは畳み携行する。
すぐ先にテントが2張りあり、出発の準備をしている。昨日のラッセルの御礼を言い先に行く。
しだいに細くなった稜線上の雪は深々と潜り、ラッセルに息がきれる。

写真⑥稜線を進む

2時間程で、大きく南西に屈曲する手前の急斜面に出る。
東側には雪庇が張り出しているが西側も斜度があり樹木も疎らでルートをどこにとるべきか悩みつつ一歩一歩進む。
空は快晴となり気温が上昇している。

写真⑦1400mからの急斜面

1500mを越え少し緩やかになった稜線から更に斜度を増した急斜面を登っている時、先を歩いていたメンバーから「何か音がした」とのコールがある。
不安を覚えいったん緩斜面まで戻り、少し西寄りにルートを変えて再度ゆっくり登り始めるが、1550mの地点で足元からズンという鈍い音が聞こえると同時に体が少し沈みこむような衝撃を感じる。
雪面を観察すると細く長く伸びる亀裂があった。再び慎重に緩斜面へと下る。

写真⑧亀裂

写真⑨1550mから下る

気温の上がり方が激しいことや帰路が午後になる可能性を話し合い撤退を決める。
後続パーティに説明すると、彼らもいったんは登っていったがやはり戻ってきた。

写真⑩撤退を決める

昨日の取り付きのミスが無く、ピストンでなければ、早い時間に充分通過することができたと思うと残念でたまらない。
が、360°の展望は素晴らしい。緊張から解放されしばらく休憩した後下山。

写真⑪タカマタギをバックに

1時間でテント場に着き撤収後バッキガ平へ下る。

写真⑫大パノラマの中を下山

   ⑬テント場着

   ⑭大源太山方向

   ⑮尻セードーで一気に下る

毛渡沢沿いの道も雪がすっかり緩み度々はまり込んで消耗する。
13時半やっと毛渡橋にたどり着きタクシーで越後湯沢駅へ。
駅ビルで昼食をとりつつ反省会。来シーズンの再挑戦を約束する。

<反省点>
事前の情報収集の段階から「吊橋を渡る」ことがまず第一の関門と刷り込まれていたので、吊橋に出た時に現在地を確かめることなく渡り始めてしまった。
これは翌日の行程を楽にするには初日の内に少しでも高度を上げておきたいと思うあまり、気持ちに焦りがあったためと思う。
確かに底板の外された吊橋ではあったが、ネットの写真で見た記憶とは何か違うという気もしたのだ。
落ち着いて地図を確認していれば、目指す取り付き地点より下流に橋があることに気づいたかもしれない。
また渡り終えた時点でも尾根の方向にみな少し違和感を持っていたのにゆっくり検討せずそのままラッセルに突き進んでしまった。
これも吊橋を渡ったのだから間違いはナイという思い込みによるものだ。
どんな時でも、基本的なことをおろそかにせず丁寧に行動することが重要だということを身に沁みて思い知らされた。

<行程>
■3(土)
毛渡橋(8:15)~735m吊橋(10:05/10:45)~850m(11:45)から下降~バッキガ平(13:00/13:10)~1182m小屋場ノ頭(14:30)幕営
■4(日)
テント発(5:45)~1550m撤退(8:30/9:10)~テント場(10:15/11:00)~バッキガ平(11:45)~毛渡橋(13:30)

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