焼岳から安房峠を経て十石山まで繋ごうという、一昨年に途中エスケープ(⇒ 2023/3/18~3/21 焼岳~白谷山)、昨年同時期に続きを計画したものの都合で中止した山行の完結を狙ったが、天候に阻まれ、またもや宿題を残して終わった。
■3/11(火)
高速バスで平湯温泉へ。待合室で身支度するうち小雨になった。
道路をショートカットすべく、国道158号の冬期閉鎖ゲート前から右手の斜面に入る。結構な傾斜の途中で休憩していると、東日本大震災の犠牲者を悼む黙祷のサイレンが鳴った。
上の道路に出ると雨は小雪に変わった。国道を30分ほど進み、カーブミラー(標高1500m)から大きな谷地形に入っていく。
雪は割合に固く、アイゼンを着けることもない。
徐々に谷を右に見るように進んで急登をこなすと、地形図上で泊り場所と目していた1909m付近の手前でいくらか広い雪面が現れた。すでに17時半なので、暗くなる前にと整地してテントを張った。
ここではスマホの電波が入り、受信したヤマテンによると、明日朝のうちは晴れるが日中から降り出し風も強まる。雪ならばまだしも、雨は困る。
■3/12(水)
予報通りに晴れ、夜明け前に出発。
アカンダナ山南西面を眺めると、樹林の間の雪斜面が雪崩の走路に思える。樹林も急傾斜で難しそうだ。
北側の広い箇所へ回り込んで幾分緩やかな面を登ろうとコンパスを振った。
北側広場(2010m)で相談し、ザックをデポして山頂をピストンすることに決定。山頂から南東へ下りて県境稜線に繋ぐことも考えたが、稜線東側での前回の難渋を思い返すと、稜線に乗るまで雪の悪さに苦労する恐れがある。
樹林の隙間の登りやすそうな箇所から取り付く。それほどの困難はないものの、時に枝をかわし、あるいは掴み、大岩の際(きわ)を攀じる場面もあり。
アカンダナ山(2109.4m)の広い山頂は雪に覆われ、三角点標石は無論、山名板も見当たらなかった。焼岳は3/4に噴火警戒レベル2(登山禁止)に引き上げられたところだが、こちらは静寂の世界だ。
眺めは良好。間近に大きく焼岳、その右に続くのは穂高連峰から明神岳、焼岳の左手前に前回苦しんだ白谷山、その左奥に尖っているのは笠ヶ岳。
山頂で15分ほど過ごしてから北側広場に戻り、東北東の県境上2110mピークに上がった。あとは基本的に尾根を下ればよいのだが、踏抜きを警戒してワカンを避け、アイゼンでのツボ足を通したこともあって案外と時間を要した。そうこうするうち行く手の空に雲が出て、太陽に暈(かさ)がかかる。
この気温(8℃前後)で降り出せば雨になる。濡れた上に風に吹かれれば低体温の恐れもあり、今回は計画を短縮して安房峠で打ち切った方がよさそうだ。リベンジを期して、峠から登っていく予定だった安房山をカメラに収めた。
<安房峠西峰>の山名板のある2019mピークから峠にかけての県境は単なる山腹斜面なので、コンパスを合わせた上でスマホGPSを併せ見て外さないように下りていく。傾斜は出だしから急で、山側を向いてピッケルを刺し、アイゼンを蹴り込む。50m程下るといったん緩むが、その先がさらに厳しく、ずっと雪壁下りだった。しかも雪が柔(やわ)で、下ろした足が時々沈み込んで抜くのに四苦八苦した。
安房峠から中ノ湯に向かうことにしたが、国道歩きも思ったほど楽ではない。相変わらずのアイゼンツボ足で、安房山の北側に回るといっそう雪が深く、雪崩のデブリが出ている箇所まである。途中から小雨となる中、最後のヘアピンカーブのみショートカットして、ようやく中ノ湯温泉に下山。本降りの雨には遭わずに済んだが、見上げる稜線はガスに閉ざされていた。
<行程>
3/11 平湯温泉14:10~アカンダナ山取付(1500mカーブミラー)16:00~1909m手前(幕営)17:30
3/12 幕営地5:50~山頂北7:50~アカンダナ山8:30~山頂北9:00~県境上2110m10:00~安房峠西峰11:50~安房峠13:10~中ノ湯15:40