前日までの雨天から打って変わって晴天となった。前日に登るはずだった当初予定を変更して正解である。
7時過ぎに国民宿舎裏妙義(閉館)を出発した。宿舎裏手の遊歩道を歩き、「丁須の頭」と「国民宿舎裏妙義」の方向を示す案内看板の場所から登り始めた。すぐに東屋があり、そこから尾根に沿って100mほど登って取付きに到着。
○1P:25m(Ⅲ+) 駿谷リード
前日の雨で岩がかなり濡れていて足場が滑り、簡単に登らせてくれない。浅いクラックにカムで中間支点を2箇所作ってシングルロープで登る。今回は3人パーティでのマルチピッチクライミングのため、セカンドはセルフジャミングプーリーを使用。
○2P:20m(Ⅱ) 田中リード
階段状でルート上で最もイージーなピッチ。
○3P:30m(Ⅳ+) 駿谷リード
チムニー状のルートを登る。足場があまりなく登りにくい。クラック内にカムをセット。クラック部分に肘まで入れて登りきった。
○4P:25m(Ⅲ) 中村リード
中間支点を取れる立木等がなく、ランナウトしないよう炭団岩を登る。途中から細い立木がある左側を進んだが、手掛かりとなる岩がほとんどなく、支点を取れる太さの木がある場所まで緊張しながら登る。
○5P:15m(Ⅳ) 駿谷リード
結構登りにくい。途中の立木がないと辛い箇所。
○6P:15m(Ⅲ) 中村リード
まだまだあるのかと思っていたところが、岩場を登り切ったら軍艦岩のリッジ部分に出て、ちょっと拍子抜けした。リッジ上は左右が切れ落ちているため、駿谷さんが念のためロープを出して先行する。
この時点で山行開始から3時間30分。晴天で眺望がよく、絶景の妙義の山々を見渡すことができる。下方には出発地点である国民宿舎も良く見える。
御殿風穴方向に進む途中で駿谷さんがマムシ発見! 自分(中村)の足元にいたのに全然気づかず。
御殿風穴まで藪尾根が続き、足を踏み外さないよう注意しながら歩く。途中にピンクリボンがあり、泥壁15m程度を自分がリードで登る。結構な急斜面であり、小木にスリングを巻き付けて中間支点を取りながら、慎重に登る。
岩場を右に巻いて進むと御殿風穴に到着。この時点で5時間が経過、ちょうど12時となったため食事を摂る。
ルートを確認した上で、50mシングルロープで懸垂下降を開始する。まず駿谷さんがバックアップを取って20mほど降りる。
2本目の懸垂下降は自分が行った。松の木に太いロープの古い捨て縄とカラビナがあったが使用せず、幹を直接支点にした。茂ったイワヒバに引っかかるのを避けるため、ロープを首に振り分けて少しずつ出しながら降下。丁度良い下降点まではロープが足りず、少し細いがどうにか支点になりそうな立木のある斜面まで20mほど降りる。
3本目は田中さんが傾斜の多少緩やかな場所まで25mの下降を行った。
その後は落ち葉が堆積して足元が滑りやすい沢地形であったが、バイルを使用するなどして慎重に進み、取付き地点より少し下の尾根道を下山した。
今回はシングルロープによるマルチピッチクライミングであった。自分はゲレンデ以外のマルチピッチは初めてだったが、3回ほどリードをさせてもらって良い経験となった。今回のルートは炭団岩やイワヒバあるいは泥の壁面で安定しておらず、また中間支点が取りづらく、リードの際は緊張する場面も多かった。しかし、それだけ充実した楽しい山行となった。