昨年の5月に無念の撤退となった毛勝山（⇒ 2023/5/3～5/5 毛勝山西北尾根（敗退））。今年はリーダーの矢田さん以下、中村さん、自分（秋永）というコンパクトなパーティーになった。

アタック日は一日の登りが1700ｍ（無雪期でもそんなに登ったことないような．．．）、そして総行動時間が約14時間と、かなりハードな山行であったが、無事に登頂を果たすことができ、とても嬉しい。
また、昨年以上にたくさんの山菜を採ることができ、残雪期ならではの山を楽しめた。

■5/3（金・祝）
富山駅に集合。あいの風富山鉄道にて魚津へ。矢田さんが予約してくださっていた魚津交通のタクシーは見覚えのある運転手さん・・・お名前を確認したら、昨年の下山でお世話になった方だった。道すがら色々と山のお話を聞き、緊張がほぐれる。運転手の浜森さんは、登山客を乗せるときには必ず登山計画書を受け取り、タクシー詰所にルートを書き込んだ鳥瞰図を貼っておくのだそうだ。我々も1枚渡し、下山時のお迎えをお願いした。

稜線と、新緑と、片貝川が鮮やか。

昨年と同じ堰堤脇の広場（標高750ｍ）にテントを張り、長い自由時間を過ごした。矢田さんは山菜採りへ、中村さんは早くからウイスキーを嗜み、私はアイゼンの刃研ぎを。

夕飯は、こごみたくさんのラーメン。

■5/4（土・祝）

4:45出発。すでに明るい。西北尾根の急登は木の根が多く、汗が噴き出す。イワウチワなどのお花を踏み潰さないように、ゆっくりと登る。

2時間ほどで昨年の撤退地点（1300ｍ付近）に到着。コシアブラの木が大きくなったとかで、矢田さんと中村さんは採取。そこから一歩先に進むと、何かゲートをくぐり抜けたような、ワクワクと緊張の高まる登りとなった。

それにしても雪が出てこない、文字通りの夏道がしばらく続く。1600ｍ付近でようやく雪渓。暑くてしんどくて、めずらしく気持ちが折れそうになった。でも、昨年のこともあるし、絶対に足を引っ張れない、登頂するんだという強い気持ちを持ち続けた。

モモアセ山（2023ｍ）までの急登がしんどい。雪を食べながら休み休み登る。毛勝谷や大明神山の稜線が見え、迫力に圧倒される。あんなに深い谷を下山するのか！

あと数十メートルの登り！と気合を入れ直したら、先に進んだ中村さんが立って待っている。おや、山頂！　標高2414.5ｍの毛勝山はあまりにもなだらかで、あっけなく登頂。登り9時間。リーダーの矢田さんと感動の握手。そして集合写真。

向こう側には剱岳の北方稜線や立山連峰が。勇ましい。しばらく景色を楽しんだのち、下山を開始した。鞍部には、いくつかテント泊の痕跡。風がなければ、抜群の景色で素晴らしい時間を過ごせるだろう。

毛勝谷に入るとかなりの急傾斜で、吸い込まれるような感覚に。おそるおそる、後ろの矢田さんに下り方を教えてもらいながら下降した。一方、中村さんはスタスタと下りて行った。

しばらく下ると、谷という谷から押し出しているデブリ。こういうのを見たことがなかったので緊張感が高まる。途中ふと振り返ると、通り過ぎた遠くの谷から落石があり、すぐに止まったから良いけれど、気を留めなければ自分たちの足音（雪上を滑る音）で気づかなかっただろう。時には後方にも注意せねばと思った。

さらに下りると、ゴーゴーと流れる沢筋に。スノーブリッジになりかけていて、一応渡ることはできたけれど、穴が見えて怖かった。
行動時間も長く疲労が出てきた。幸いにも、日が長いし、ずっと晴天。
最後に林道に出てからは山菜採りをしながら下山。18:35、ほぼ14時間の行程を終えて無事に帰着した。

夕飯は中村さん担当、アヒージョだ。

■5/5（日・祝）

翌朝、西北尾根の石碑前にて。矢田さん、中村さん、ありがとうございました！
車両通行止めとなる片貝第四発電所まで戻ると、ちょうど魚津交通の浜森さんがいらしたところだった。今年は金太郎温泉に立ち寄り、また、魚津駅まで送迎をお願いした。既に山を引退されているが、何十年もかけて毛勝周辺のありとあらゆる沢、谷を踏査したのだそう。地図には記載のない秘境の探索や熊との遭遇など、話題が尽きない。また魚津に来る時には、必ずお会いしたいと思う。ありがとうございました。

＜行程＞
5/3 片貝第四発電所12:40～堰堤広場（幕営）13:50
5/4 堰堤広場4:45～1300ｍ（昨年の撤退地点）6:55～モモアセ山11:40～毛勝山14:00-14:25～ボーサマのコル14:45～毛勝谷～堰堤広場18:35
5/5 堰堤広場6:00～片貝第四発電所7:20