前々から気になっていた残雪期の白毛門に挑戦した。降雪直後なのにワカンを持たなかったため予想以上に時間を要し、1260m地点で引き返しとなったが、挑戦できてよかった。
上毛高原駅よりバスに乗り土合橋にて下車。
土合橋駐車場の雪原で身なりを整え、出発。
東黒沢にかかる橋。昨年の2月はこの手すりが埋まるくらいの積雪だったなぁ。
序盤は、尾根に上がるまで100mくらいの急登。軽く雪が降り続けている。
前2日間で50cm前後の積雪があり、3回くらい蹴り込んでも深く踏み抜くなど、全然進まない。さらに、ワカンとスノーシューの5人組に抜かしてもらったのが間違いで、柔らかく耕された雪にツボ足の我々はさらに進みが遅くなった。100mの登りに1時間も費やしてしまう。
ワカン隊と抜きつ抜かれつしていると、前方から来たのは最初に我々の前で道をつくってくれていた人だ。彼は先頭に追いついてしまい、その先はトレースが無いので引き返してきたとのこと。まもなくしてその先頭さんも下りてきた。
今日は午後に雨か雪になる予報なので、山頂はさすがに厳しいな、行けるところまでと思っている。
1150mくらいか。ついに、その日のトレースのトップに出てしまった。時刻は12:25。私は既に気持ちが後ろ向きになっていて、雪庇の続く細尾根を見て諦めかけていたのだが、中村さんが「ここからでしょう、面白いのは」と気合の一言。果敢に進んで行った。
小さなアップダウンが続き、吹き溜まりごとに腿や腰のラッセルで切り崩していく。中村さん、さすがのラッセル王! しかし、予報通りに風雪が強まってきた。
1484mの松ノ木沢の頭までまだ2時間以上はかかりそう...時刻を決めて13:30に引き返そうということで、1260m地点をゴールとした。
その先の尾根。数日前の記録で東側の斜面に雪崩があったのを見て、私は正直怖がりすぎていたのだ。加えて天候の変化などなければ、もっと楽しめただろうに! 物事を正しく怖がるとはなんと難しいことか。
引き返す。この後、向かいから女性が1人やってきたのには驚いた。巻機を目指しているのだそう。元気な足取りで進んで行った。
今回の目的の一つは、谷川岳の東面を見ることだった。天気が悪く展望は全然楽しめなかったが、下山途中にようやく雲が切れて、西黒尾根とマチガ沢(右手)を少しだけ望むことができた。
登山口に戻る頃には青空に。おや、予報よりも早く天候が回復してしまったではないか。もう少し頑張れたかな、と少し後ろめたい。中村さんも、せめて松ノ木沢の頭までは行きたかったなと悔しがる。今頃、あの単独のおばちゃんはきっと快適に尾根を進んでいるのだろう。
ベースプラザに寄ってから、翌日の講習(春山サバイバル)に備え、西黒尾根林道付近でツェルト泊を堪能した。
(オマケ)翌朝の積雪観察。新雪の下にザラメの層。顕著な弱層は見られなかったが、ザラメが緩すぎて、ツェルト泊の整地の際には新雪をかけて踏み固めた。1月から谷川エリアに入るたびに定期的に観察をし、JAN(日本雪崩ネットワーク)や気象庁のデータと照らし合わせてきたので、少しは積雪の変化の感覚が掴めてきたような気がする。
来年以降は、朝日岳や巻機山方面への縦走を企画したい。
<行程>
白毛門登山口9:20~1260m地点13:30~登山口15:10